伝七邸庭園(旧伊藤伝七別邸)

Denshichi-tei Garden, Yokkaichi, Mie

“紡績王”伊藤伝七の別邸、四日市の名料亭“浜松茂”の歴史を継ぐ文化財の屋敷に京都・梅鉢園が作庭した枯山水庭園。

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伝七邸(旧伊藤伝七別邸)/浜松茂について

「伝七邸」(でんしちてい)は日本の紡績業界の筆頭・東洋紡(TOYOBO)の二代目社長をつとめ“紡績王”と称された十代目伊藤伝七の別邸を活用したカフェ・レストラン・ウェディング等の多目的スペース。「旧伊藤伝七別邸」として玄関棟・さつき棟が国登録有形文化財。

2021年7月、3年半ぶりに四日市へ。このお店のことを知ったのはその3年半前たまたま通り掛かったのがきっかけ。

渋沢栄一とともに“東洋紡績”で一時代を築いた十代目伊藤伝七。その跡を継いだ十一代目伊藤伝七も現・近鉄志摩線の「志摩電鉄」社長や東洋紡績会長、貴族院議員を歴任し四日市名誉市民に選ばれるなど、近代の四日市を代表する実業家一家。

十代目の別邸だったこの別邸は1906年(明治39年)に『料亭 浜松茂』となり、以来100年以上に渡り四日市港の迎賓館として政財界の要人のみならず皇室関係者、芸能人も訪れる名料亭として知られました。

しかしそんな名店も2017年に跡継ぎ不在と建築の老朽化のため閉店。たまたま通り掛かったのはその頃。
更にたまたま現在の運営者「100年伝統継承倶楽部」の方が駐車場に入ってきた所で、「今はお見せできないのですが、今後この屋敷を活用していくのでぜひお越しください」とお名刺をいただいて。それ以来、また訪れたいな~~と思っていた場所でした。なお新たな利活用に携わっているのが九鬼氏の末裔・十一代目九鬼紋七

伝七邸としては、旧料亭時代の近代和風建築の面影残る各部屋で、“KIHACHI”で知られる熊谷喜八が総合監修をつとめたランチやディナーを楽しめるほか、ウェディング、会議・会合の場として活用されています。

それらは複数名からじゃないと利用ができないのですが、お一人様向けでも!洋風の元応接間?に開かれた“伝-TSUTAU-珈琲”(ツタウコーヒー)のカフェ利用という選択肢が。コーヒーやスイーツ以外にも、松坂牛の肉重なんてお食事メニューもあります。

今回お食事の後、庭園や別の部屋を見学させていただきました。(庭園含め、各部屋でイベント等が行われている時は見学できないと思うのでその点はご了承ください。)

近代数寄屋風の天井が素敵な中広間から、主庭園の“自然(じねん)の庭”が鑑賞できます。作庭は京都・長岡京の梅鉢園さん。「聞き覚えが…」と思ったらインスタで相互フォローしていました。笑。この庭園を手掛けられていたとは知らず。
なんと言っても目がいくのは庭園中央で飛び出るように据えられた3トンもの花崗岩。苔の築山は鈴鹿山脈を、そして白砂の海の中には亀が泳ぐ姿が表現。

この庭園の作庭のビフォーアフターや作庭意図については、梅鉢園さんのサイトで詳しく解説されているので、ぜひご覧ください。

>> 自然の庭 – お庭のことなら梅鉢園(うめばちえん)

庭園を沢山見てはいるものの、「建物の設計については情報があるが、庭園については無い」ということがままあり、「これ、誰がどんな想いで作ったんだろうな」と考えることは大変多い。それが庭園を見る面白さでもあるんだけども、でもやっぱ『どんな想いで作ったか』を作庭者が残してくださるのはとても嬉しいし、素晴らしい内容!

伝七邸はその他にもそれぞれ違う意匠の凝った数寄屋風の部屋や、おそらく近代に作庭された中庭なども残る。新しい庭のクオリティ見ちゃうと、中庭ももっと良くなりそうだな~って感じがするので、再び・そして更に地元の方々に愛されてより素晴らしい場所になって欲しい!
(案内くださった方の説明からはこの施設や四日市への思い入れをすごく感じたので。そういうのって本当にいいですよね。場が後世に紡がれていくには、地元の人の想いこそ最大の原動力。)

(2021年7月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)

アクセス・住所 / Locations

JR関西本線 四日市駅より徒歩12分
近鉄四日市駅より徒歩25分
近鉄四日市駅より路線バス「相生橋」バス停下車 徒歩1分

〒510-0042 三重県四日市市高砂町6-12 MAP

投稿者プロフィール

イトウマサトシ
イトウマサトシ
Instagram約9万フォロワーの日本庭園メディア『おにわさん』中の人。これまで足を運んで紹介した庭園の数は1,900以上。執筆・お仕事のご依頼も受け付けています!ご連絡はSNSのDMよりお願いいたします。
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