
明治時代に造営された南禅寺界隈別荘群の一つ、近江商人・小林吟右衛門邸がルーツ…近代京都の名庭師が作庭し、現代の造園家が改修した日本庭園も。
ふふ京都(旧小林吟右衛門邸)庭園について
「ふふ京都」は京都市左京区の岡崎〜南禅寺エリアにある“スモールラグジュアリーホテル”。そのルーツは明治時代に造営された近江商人・小林吟右衛門(創業繊維商社「チョーギン」創業者)の別荘だった場所で、現在残る日本庭園の一部も明治時代に作庭されたもの。宿泊者以外にも『京野菜と炭火料理 庵都』のお食事利用者も庭園散策が可能です。(※お食事も事前予約推奨)
近代京都の名庭園『無鄰菴』や名料亭『瓢亭』に隣接し、北側には国宝・琵琶湖疏水が流れる場所に2021年4月に開業した「ふふ京都」。その前身は京料理店「南禅寺ぎんもんど」。2017年の閉業後、「ふふ」シリーズを手がけるTKN・ARCHITECTによる設計監修、日建設計の設計/竹中工務店の施工で現在の姿へと改められました。
更に歴史をさかのぼると、この地は近江商人・小林吟右衛門の別荘が明治20年代に建設された場所。明治30年代以降に形成された「南禅寺界隈別荘群」に先駆けて造営された『無鄰菴』と同じく「草川」の水を庭園に引き入れた別荘群の一つであり、それらの別荘群を同志社大学・佐野静代教授により「旧白川・草川水系邸宅群」と称されています(佐野静代 著『近代の政治家と京都の別荘庭園』より)。なお南禅寺界隈別荘群では『對龍山荘』や現『南禅寺 菊水』も元々は東近江出身の近江商人のお屋敷で、当時の京都における近江商人の財力の高さを感じさせます。
ふふ京都には往時の建築は残されていませんが、現在残る庭園も当時の庭園の面影を残すもの。公式には書かれていませんが、前身の『南禅寺ぎんもんど』時代には近代京都の名庭師・七代目小川治兵衛(植治)の作庭と言われており、お食事処『庵都』の前に広がる池泉〜滝〜築山の上の飛び石や石造物からその面影が感じられます。
一方で、今回のリニューアルに携わったのは現代のランドスケープデザイナー:日建設計の岡部真久さん。日本建築の離れ「八重一重」の周辺や、南門(普段は閉門)からのアプローチの石組〜水の流れもモダン日本庭園といった趣でカッコいい。海外でも作庭を手掛ける現代日本の有力作庭のひとり・野村勘治さんに師事され、野村さんを知らない方向けに情報を補足すると野村さんは昭和を代表する作庭家・重森三玲さんに師事された方…なので、重森三玲の孫弟子に当たる方とも言えます。
お食事処からはこのエリアの小川治兵衛の庭園の代名詞とも言える東山の借景も。またそんな東山の植栽も意識した?門前の印象的なアカマツ群は福島の仲田種苗園さんより納品されたものだそう(→詳しくはこちら)。歴史的庭園と現代の造園家の技、双方が感じられる空間…ぜひお食事や宿泊に訪れてみて。
(2026年6月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)
アクセス・住所 / Locations
京都市営地下鉄東西線 蹴上駅より徒歩8分、東山駅より徒歩10分
最寄りバス停は「神宮道」バス停 徒歩6分
〒606-8437 京都府京都市左京区南禅寺草川町41−41 MAP
投稿者プロフィール

- Instagram約9万フォロワーの日本庭園メディア『おにわさん』中の人。これまで足を運んで紹介した庭園の数は2,000以上。執筆・お仕事のご依頼も受け付けています!ご連絡はSNSのDMよりお願いいたします。
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