岩倉具視幽棲旧宅

Former Iwakura Tomomi House's Garden, Kyoto

“岩倉使節団”で知られる、明治維新を牽引した公家/政治家・岩倉具視の隠れ家…近代京都の名匠・七代目小川治兵衛の苔庭や武田五一の近代建築も。国指定史跡。

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岩倉具視幽棲旧宅について

「岩倉具視幽棲旧宅」(いわくらともみゆうせいきゅうたく)は京都市左京区・岩倉エリアにある、幕末から明治維新を代表する政治家・岩倉具視の旧宅。氏が幕末に一時失脚した際に3年間暮らした場所で、江戸時代末期に建てられた主屋を含む敷地全体が国指定史跡。また主屋の前の苔庭は、近代京都を代表する庭師・七代目小川治兵衛(植治)の作庭、資料館となっている洋館『対岳文庫』は武田五一の設計による昭和時代初期の近代建築。
2026年、久々に訪れたので改めて紹介。

京都盆地の最北部・岩倉…門跡寺院や紅葉の名所としても人気の寺院『実相院門跡』のすぐそばに佇む「岩倉具視幽棲旧宅」。岩倉使節団などの功績でも知られる岩倉具視…については超有名人物なので説明を省きますが、この地に旧宅が残る経緯について。
幕末の京都のお公家さんの中で“公武合体”派として発言力を増していった岩倉具視…ある時から“尊皇攘夷派”に目をつけられるようになり、尊攘派からの脅しや洛中からの追放令などもあって一時期失脚します。同じく郊外の現・世界遺産『苔寺』こと『西芳寺』ののち、この旧・岩倉村に移り住みました。

ところで、“岩倉村”って地名は岩倉氏の本拠・領地だったのか…?という話を。「権力者からついた土地名なのかな」という風に想像していたのですが、正しいルーツはWikipediaにありますが、平安時代からこの地域にあった磐座を信仰した「石座神社」が地名のルーツとのこと。ただ、公家領もこの地にあったとかで、岩倉具視自身も子供の頃に教育の一環で農家に預けられるなどこの地にゆかりはあったそう。

さて、失脚し岩倉村へ移り住むことになった後、村の廃屋に住んだり先述の実相院にもお世話になったりした後、大工が住んでいたという家を譲り受け拡張したのがこの幽棲旧宅。公家であり、後に日本を牽引する政治家になる人物…という先入観と比べると非常に質素な作りで、それは立場上この時期は「目立たない(隠れ住んでいる)」必要があったからで。
ただ別に移り住んでからも全く大人しくしていたかというとそういう訳でもなく、坂本龍馬、中岡慎太郎、大久保利通らがこの邸宅を訪れその後の表舞台への復帰、王政復古~大政奉還へと繋がってゆきます。

質素、と言ったものの江戸時代後期の建築をほぼそのまま残す主屋「鄰雲軒」の障子の意匠や襖絵やなんかはセンスや格式を感じさせるもの。岩倉が表舞台へ戻った後もこの邸宅は維持され、大正時代からは岩倉旧蹟保存会が所有、2013年に京都市へ寄贈され現在に至ります。敷地内には岩倉の遺髪碑や、冒頭にも名前を挙げた近代関西を代表する建築家・武田五一による『対岳文庫』(対岳は岩倉具視の雅号/国登録有形文化財。1928年・昭和3年竣工)も。

そして、鄰雲軒の前に広がる苔のお庭や玄関門からの延段など(前庭)は“植治”七代目小川治兵衛が手掛けたものとされます(※主屋から一段下がったところにも池泉庭園の遺構がありますが、そちらは植治ではないそう)。『円山公園』や『白河院』でタッグを組んでいる武田五一と小川治兵衛。それらの様な大きな池泉庭園ではありませんが、“巨星”を表すかのような立派なマツの周りには、小ぶりな自然石が日本列島を表現するかのように並べられています。縁側や主屋の中からぼんやりと眺めていたくなる苔とマツと紅葉。

さらに、中庭の坪庭もシンプルながら「東側に位置する比叡山へ向けて繋がっていく」ようなデザインとなっていてかっこいい!そう、この高台部からは比叡山もお庭の借景の一部となっています。
2026年には、この地を訪れた大久保利通ゆかりの茶室の移築プロジェクトも進行中。“隠れ家”だった歴史の通り、喧噪から逃れてとても心落ち着く場所――。実相院門跡と併せて洛北のお庭巡りにどうぞ!

(2019年9月・11月、2026年9月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)

アクセス・住所 / Locations

叡山電鉄鞍馬線 岩倉駅より徒歩10分
最寄バス停は「岩倉実相院」バス停 徒歩2分

〒606-0017 京都府京都市左京区岩倉上蔵町100 MAP

投稿者プロフィール

イトウマサトシ
イトウマサトシ
Instagram約9万フォロワーの日本庭園メディア『おにわさん』中の人。これまで足を運んで紹介した庭園の数は2,000以上。執筆・お仕事のご依頼も受け付けています!ご連絡はSNSのDMよりお願いいたします。
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