
熊本の城下町に佇む文化財の宿。熊本藩主・細川家に仕えた料理人の邸宅がルーツの近代和風建築と、陶芸家・細川護光命名の茶室・露地。国登録有形文化財。
商工クラブ / 料理谷庭園について
「商工クラブ」(しょうこうくらぶ)は熊本県熊本市の下町「新町・古町」界隈にある明治時代の近代和風建築。「商工クラブ店舗」として国登録有形文化財、熊本市の歴史的風致形成建造物に指定。現在は旅館『料理谷邸 葛籠』(つづら)として活用されているほか、旧熊本藩主・細川家を受け継ぐ陶芸家・細川護光さん命名の茶室『妙味庵』があります。
その歴史について。江戸時代初期、加藤清正によって築城された国宝『熊本城』、それに伴って整備された城下町の面影を遺す「新町・古町」界隈。現代の熊本の繁華街からは少々外れますが、歴史を感じさせる和風建築、町屋(町家)、そして寺院が点在する下町です。
この「商工クラブ」「料理谷邸」のルーツは、熊本藩主・細川家に仕えた料理番「料理谷(りょうりや)家」の邸宅。大名茶人としても知られる細川忠興が小倉藩主だった頃から仕えた家柄で、この変わった苗字も藩主より賜ったものだそう。
明治維新後の西南戦争で江戸時代の建物は焼失、現在の建築は1890年(明治23年)に再建され、「商工クラブ」の名で料理旅館として昭和時代半ばまで営業。ファサードは純和風の町屋風ながらも建物内には大正ガラスが多く使われており、欄干や欄間の彫刻意匠も贅を感じさせる近代和風建築となっています。
しかしそんな歴史的な町屋を襲ったのが2016年の熊本地震。料理屋としての営業も終えており、解体も検討されたそうですが、ご当主や地元・熊本の建築家、メンバー達によって建築も修復&リノベーション、2021年に新たな業態の「商工クラブ」として蘇りました。1階部分ではカフェや料理店が、2階の旧大広間には宿泊処「料理谷邸 葛籠」が営業。コンセプトは《清く、正しく、謎めかしく》だそうで、エントランスのネオンサインが“レトロフューチャー”感を演出、館内も旧「商工クラブ」から引き継いだ日本の古美術と、現代アートが同居した空間になっています。
その一階部分に茶室『妙味庵』と露地庭があります。藩主・細川家と料理谷家のご縁から、現代に細川家の末裔・細川護光さんにより命名。お庭は当初は苔庭だったようですが現在は白砂敷き。その沓脱石があまり見たことない、木目の様な模様のある庭石で…こちらは天草諸島の一部の地域でしか採掘されない“天草陶石”で、その特徴の通り“木目石”の異名も。室内に上がると、南側には主木のイロハモミジ、西側には藩主・細川家ゆかりの(細川家の霊廟のある)北岡自然公園と花岡山が眺められる空間となっています。
今こそ熊本を、そして熊本の歴史や文化財を応援したい…そんな方はぜひ宿泊やお食事に訪れてみて。
(2026年8月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)
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- Instagram約9万フォロワーの日本庭園メディア『おにわさん』中の人。これまで足を運んで紹介した庭園の数は2,000以上。執筆・お仕事のご依頼も受け付けています!ご連絡はSNSのDMよりお願いいたします。
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