パンとエスプレッソと夕照庵

Bread, Espresso and Sekishoan, Otsu, Shiga

人気ベーカリーカフェの新店は公共茶室が活用された画期的な事例に。建築事務所・Muffの手掛けた和モダン空間から眺める、伊藤邦衛+"鈍穴流"花文の庭園。

庭園フォトギャラリーGarden Photo Gallery

パンとエスプレッソと夕照庵の庭園について

「夕照庵」(せきしょうあん)は滋賀県大津市にある滋賀県立の都市公園『びわこ文化公園』内にある公共茶室。2026年6月には人気ベーカリーカフェの新店『パンとエスプレッソと夕照庵』がオープン。昭和時代を代表する造園家のひとり・伊藤邦衛や滋賀・近江五個荘で江戸時代から続く庭師・“鈍穴流”花文造園により作庭された「夕照の庭」や茶庭を眺めながらカフェを楽しめます。

>> びわこ文化公園 日本庭園「夕照の庭」についてはこちら。

1984年(昭和59年)に開園したびわこ文化公園、その日本庭園の一角にある茶室「夕照庵」は開園の2年後に竣工したお茶室。これまでも来園者向けのお呈茶の営業をされておりましたが、2026年に人気ベーカリーカフェ『パンとエスプレッソと』がこの茶室を活用する形で新規オープン!

パンとエスプレッソと、通称(?)パンエスはこれまでも『パンとエスプレッソと嵐山庭園』など歴史的な建物を活用した店舗があったし(大阪や神戸、犬山なども)、「Park-PFI制度」(公共の公園に民間の事業者が出店・活用する制度)によって「各地の公園のスタバ」が人気を集めている例はすでにあるのですが。この「夕照庵」に関して画期的だと感じたのは、「公共の茶室を活用した例」であること。茶室でお抹茶だけでなくコーヒーをいただける施設は他にも事例があるけれど、この様なブランドのある企業が入る事例は初めてぐらいじゃない…?

そんな昭和の公共茶室も、伝統的な和の雰囲気は残しつつも、《庭と地続きの石庭空間》をコンセプトに一部リノベーション。立礼席には自然の立石がオブジェのような形で置かれたり、広間の障子や欄間もすべてスケルトンになって、和モダンな雰囲気に。設計を手掛けられたのは、神戸を拠点に、和風建築から現代建築まで幅広く活躍する建築設計事務所・MuFFさん。

そして茶室の目の前には、この茶室の名前の由来と同じ、近江八景「勢田夕照(瀬田の唐橋)」を表現した日本庭園「夕照の庭」が広がります。作庭を手掛けたのは、東京の『昭和記念公園』など大型な公園・庭園を手掛けた昭和の造園家/作庭家・伊藤邦衛と、滋賀・近江五個荘で江戸時代から続く老舗造園会社「花文」。(>>「夕照の庭」の紹介はこちら

そしてこの茶庭の方に、庭園流派“鈍穴流”を受け継ぐ花文さんによる特徴が感じられるかもしれません。アプローチや座敷前の庭の飛び石が高く打たれている感じ、そして座敷前の飛び石・茶庭の飛び石がカラフルに組み合わせられている感じなど。そんな“名匠”らによるのお庭が、カフェとともに楽しめる贅沢…。

ちなみに『パンとエスプレッソと夕照庵』と同時に、公園の西口側に『パンとエスプレッソとびわこ文化公園』もオープンしています(公園内で同時に2店舗オープン)。…それでも夕照庵の方が賑わっていたので、今後この様な「公共茶室」をPark-PFIで活用する事例は増えていく/広がっていくのかもしれません。カフェ好きはもちろん、プロの方/その様なお仕事の方の視察にもオススメ…!

(2026年6月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)

アクセス・住所 / Locations

JR瀬田駅より路線バス「文化ゾーン前」バス停下車 徒歩5分
JR琵琶湖線 瀬田駅より約3km(駅前にシェアサイクルあり)

〒520-2122 滋賀県大津市瀬田南大萱町1740-1 MAP

投稿者プロフィール

イトウマサトシ
イトウマサトシ
Instagram約9万フォロワーの日本庭園メディア『おにわさん』中の人。これまで足を運んで紹介した庭園の数は2,000以上。執筆・お仕事のご依頼も受け付けています!ご連絡はSNSのDMよりお願いいたします。
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