
NHK朝ドラ“おむすび”の舞台・糸島…その駅近、前原宿の近代和風建築を活用した古民家カフェで、庭園“観古園”を眺めながら味わう地産地消の町家御膳が◎!
古材の森(旧西原邸)庭園について
【ランチは事前予約制】
「古材の森」(こざいのもり)は2024~2025年のNHK朝ドラ『おむすび』の舞台の一つ、福岡県糸島市の中心駅・JR筑前前原駅の程近くにある古民家レストラン/カフェ。明治時代に建てられた近代の町家・商家建築『旧西原邸』が活用されていて、庭園「観古園」を眺めながらお食事・喫茶を楽しめます。
東アジアからの観光客でごった返す福岡市中心部から地下鉄で30分ちょっと。筑前前原駅の海手側はかつて江戸時代に開通した唐津街道の宿場町「前原宿」があったエリアで、現在も旧街道沿いには面影を感じさせるレトロな建物が並びます。
その中でも一際風格がある建物が「旧西原邸」。西原家は江戸時代中期の天明年間に前原宿にお店を構え(屋号は「綿屋」)、幕末には福岡藩の大庄屋格を与えられ《西に前原綿屋あり》と呼ばれる程の豪商へと成長。
この「旧西原邸」は西原家が幾つかの事業のうち呉服屋を独立して営むために1901年(明治34年)に新築した建物。いわゆる「町家、商家建築」の枠組みなのだけど、料亭・旅館のような吹き抜けの玄関部分、そして2階部分には菱形なデザインの洋風意匠が印象的なガラスが使われている近代和風建築!表から見える薬医門はかつて訪れた要人(福岡県知事など)を通す為の玄関。
そんな歴史ある建築も一時は解体される意向だったとか。しかし、解体を依頼された油機エンジニアリング株式会社(本社:太宰府市)が、この建物は残さねばという使命感に駆られ、建物を取得、自社で修復/復元/保存され、現在は古民家カフェ/レストラン/その他「地域の歴史と文化の交差点」をテーマとする文化企画を実施するなどギャラリー/イベントスペースとして活用されています。
お食事スペースとなっている主座敷の奥にお庭「観古園」があります。元は建築当初(明治時代)に作庭され、現在の姿は建築の修復の際(2006年)に改修された後の姿。手前に飛び石と苔が敷かれ、奥に枯池を配し、かつてその先にあったお茶室へと至るお庭。
今回訪れたのが冬だったので見頃の植物がない時期でしたが、雨で苔が育ち、新緑とサツキと紫陽花によって彩られる5〜6月頃は一年でも特に美しいそう。なお、かつてはこの庭園の奥に三階建の望楼があったそう。これが古写真で見るとめちゃくちゃかっこいい…。
このお庭を眺めながらお食事や喫茶を楽しむことができます。地産地消の糸島産の食材に加え、自社で運営する阿蘇蔵農園の野菜・フルーツによる「町家御膳」やケーキは美味しさだけじゃなく体にも優しい…!
大手の竹中工務店が『聴竹居』を取得・保存されていたりする例はあるけれど、その様な超大手ではなく、地方の中小の建築関連企業(※全国各地への事業所はあるけど)が自ら古民家を修復・保存・活用を試みている事例としては貴重で興味深いパターンかもしれません。現在は町家御膳もスイーツも人気メニューになっていますが道のりも簡単ではなかったはず…。
博多ではコロナ禍に国登録有形文化財の町家・旅館『鹿島本館』が解体されてしまいました。そうした意味でもこの西原邸は本当に貴重な建築なので、糸島の方のみならず福岡市民、そして観光で訪れる方に知り、利用されて欲しい!
(2025年1月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)
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