長興寺庭園

Choko-ji Temple Garden, Shiojiri, Nagano

木曽義仲の母の墓所も残る寺院に、江戸時代中期に作庭された池泉回遊式庭園は美しい刈込が見られる隠れた名園!

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長興寺庭園について

「青松山長興寺」(ちょうこうじ)は室町時代に開かれた曹洞宗の寺院。本堂の裏手にある江戸時代の庭園は塩尻市指定名勝。斜面の刈込みが美しく、2019年に観た庭園の中でとても印象的だった庭園の一つ!

2019年夏、アウェー・松本山雅戦のついでに南信州の庭園を巡りました。松本市の『百瀬家庭園』でお話する中で、長興寺の庭園はよくお手入れされていて良い…とお聞きして。全くノーマークだったのですが、電話してみたら拝観可能とお聞きしたので伺いました!志をお納めして庭園へ。

地図で見ると近くには長野県指定史跡の『釜井庵』や『本洗馬歴史の里資料館』があり、歴史的なエリアなんだろうなあというのがわかるのですが、その参道からはとても山深い場所…という印象を受ける。(江戸時代に建立された、山門の彫刻は立派で見応えあり!)

長興寺が開かれたのは室町時代の中頃、大永7年(1527年)。洗馬・妙義山城主の三村忠親の菩提寺として建立。その後、武田信玄らの懇願により大本山・総持寺から才応総芸禅師が入り現在の寺名に。松本市〜塩尻市の寺院を巡礼する“信州筑摩三十三カ所観音霊場”の33番札所。
また公式サイトには説明がないけど、の裏山の中には木曽義仲の母・小枝御前の墓所(木曽義仲御母堂の墓)があるという説明看板も。源義仲(駒王丸)は2歳の時に母・小枝御前とともに信濃権守・中原兼遠を頼ってこの地に逃れてきたそう。長興寺建立以前にもお寺や小庵があったのだろうか。

本堂裏に市の名勝となっている池泉回遊式庭園があります。南信州で多く見られる横長の池泉を中心とする庭園で、作庭されたのは江戸時代中期の安永から天明年間(1772〜1788年頃)の様式と推測されています。
山の斜面を活かした滝石組と池泉の護岸石組は先の“木曽義仲御母堂の墓”の説明看板(の明治以前の絵図)にも描かれていて、園路に沿って斜面を登るとその滝石組を上から近くで見ることもできるのですが。

でもこの庭園は刈込まれた樹木たちの美しい姿と山の借景が見所!丸みを帯びたり、四角に刈り込まれているサツキやツツジ。庭園の原型がこういった刈込中心の庭園だったのかはわからないし、現在入られている庭師さんのセンスによるものかもしれないけど(園路に脚立が置かれていたから丁度剪定の時期だったのかもしれない)。その比較は…古写真があったら見てみたいけど、現在の玉ものが様々な大きさ・形に刈込まれたこの姿もとても好き!

春に花を咲かせる時期も美しいだろうし、秋にはドウダンツツジや頭上のモミジの紅葉が美しいそう――次回はそんな時期にも再訪したい!2020年はその時期に対戦がありますように…(笑)長野県・信州の穴場の名園。

(2019年7月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)

アクセス・住所 / Locations

JR中央本線 洗馬駅より3km弱(徒歩35分)
塩尻駅より約5km(レンタサイクルあり ※冬期はないかも)
塩尻駅より塩尻市地域振興バス「すてっぷくん」乗車、「長興寺前」バス停下車 徒歩5分(⇒日祝は運休。時刻表はこちら

〒399-6462 長野県塩尻市大字洗馬元町3392 MAP

投稿者プロフィール

イトウマサトシ
イトウマサトシ
Instagram約9万フォロワーの日本庭園メディア『おにわさん』中の人。これまで足を運んで紹介した庭園の数は1,900以上。執筆・お仕事のご依頼も受け付けています!ご連絡はSNSのDMよりお願いいたします。
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