天守閣自然公園・小屋館跡庭園

Tenshukaku Gardens, Sendai, Miyagi

秋保温泉内の中世の館跡に作庭された、広大な池泉回遊式庭園と巨石が立ち並ぶ“秋保石の庭”。

庭園フォトギャラリーGarden Photo Gallery

“秋保石の庭”小屋館跡庭園・天守閣自然公園について

「天守閣自然公園」(てんしゅかくしぜんこうえん)は仙台の郊外・秋保温泉にある複合公園で、日本庭園『小屋館跡庭園』のほか、温泉、お食事処、カフェ・ロッジのある「木の家」、そしてオートキャンプ場などがあります。秋保温泉の中心地からは1〜2kmほど。

この庭園を知ったきっかけは時々行ってる宮城県の野外ロックフェス『ARABAKI ROCK FEST.』。2017年アラバキに路線バスで行った道中(この時)でこの庭園の名が見えて――その時は途中下車しなかったのだけれど、この2019年のアラバキへ行く途中で今度はバスを途中下車して訪れました!

この『小屋館跡庭園』(こやたてあとていえん)のルーツ。現在のこの公園の敷地は室町時代に初代秋保摂津守盛義によって築かれた中世の城郭“湯元小屋館”があった場所とされます。中でもこの庭園からも借景としてのぞむ山・大沢山の山間には山砦の遺構が残るそう(曲輪・土塁・湧水池などが残っているとか)。公園名に“天守閣”が入ったのは城郭の跡地から連想されたものだそうですが、中世の城郭なので実際には天守閣があるわけではない。なおその他秋保町内には室町時代の古城・館跡が7つ確認されているそうです。

庭園の作庭は昭和中期。傷痍軍人となった早坂市太郎が地元のこの山を買い受けたのち、温泉の採掘に成功。それに伴って庭園の作庭を思いつき、昭和30年代〜50年代に掛けて段階的に完成。なお日帰り温泉やオートキャンプ場、カフェなどの施設がオープンしたのは平成に入ってから。

24万平方メートルという広大な敷地の中には大沢山を借景とした大きな池泉回遊式庭園は梅林、水芭蕉池、睡蓮堀、竹林にモミジ…といった花木・植物ももちろん見所なのですが、この庭園の特徴は
“秋保石の庭”という呼称にある通り、庭園の序盤にはこの地この山で産出されていた、また山肌からかつて剥がれ落ちたという岩石“秋保石”の巨石が立ち並びます。この自然石を活かした“秋保石組の景”も。とにかく岩、岩、岩!石組み好きにはたまらない気がする。そりゃロックフェスの前に立ち寄りますわ…

この庭園では秋には『秋保ナイトミュージアム』という紅葉ライトアップも開催されているそう。写真・キービジュアル・サイトのデザインもかっこいいのですが(公園のサイトよりもかっこいいw)、このライトアップはヨーロッパの照明賞『Dark Awards 2017』のイベント部門で第2位にも選ばれたそう(このイベント?)。宮城県の訪日向け観光サイトでもライトアップ時の写真が使われている…昼間に来てもこの岩組は価値が高いと思うよ!

そしてこの庭園には日帰り温泉が併設されています。温泉と庭園を楽しめて800円!リーズナブル!(庭園のみの場合400円)
秋保温泉は初めて浸かったのですが、いやー気持ちよかった…好みの泉質…出会って4秒で湯船と合体…。露天風呂からは山の上の方まで眺められて、さっきまで見ていた庭園の続きという感じ。
なお最寄りのバス停「木の家」は大体日中1時間に1本。この1時間で庭園と日帰り温泉を楽しみたいと思ってたけど、1時間じゃ足りなかったわ…。観たいと思ってたアーティストを見逃すことになったけども、それでも満足できる庭園だった。いつかライトアップにも足を運んでみたいなー!

(2019年4月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)

アクセス・住所 / Locations

仙台駅・仙台市内より路線バス「秋保温泉湯元」バス停下車 徒歩約15分
仙台駅よりタケヤ交通 秋保・川崎 仙台西部ライナー「木の家前」バス停下車 徒歩1分
仙台市内より約20km

〒982-0241 宮城県仙台市太白区秋保町湯元源兵衛原5-1 MAP

投稿者プロフィール

イトウマサトシ
イトウマサトシ
Instagram約9万フォロワーの日本庭園メディア『おにわさん』中の人。これまで足を運んで紹介した庭園の数は1,900以上。執筆・お仕事のご依頼も受け付けています!ご連絡はSNSのDMよりお願いいたします。
PICK UP / COLUMN
最新の庭園情報は約10万人がフォローする
【おにわさん】のSNSから。