
2023年グッドデザイン賞受賞。戦国武将・長尾政景と直江兼続の居城のあった“坂戸山”を借景とする、国登録有形文化財の旅館の雪解け水の美しい庭園。
ryugonについて
「ryugon」(龍言/りゅうごん)は新潟・六日町にある、国登録有形文化財の古民家をリノベーションした温泉旅館/ホテル。文化財登録名は「温泉御宿龍言本館(旧松崎家住宅主屋)」。約13,000平方メートルの広大な敷地にはかつて戦国武将・長尾政景(上杉謙信の義兄で上杉景勝の実父)とその家臣・直江兼続の居城だった坂戸山を借景とした庭園があります。2023年、グッドデザイン賞受賞。
日本有数の豪雪地帯・南魚沼市の玄関口、六日町駅。ほくほく線の始点/終点でもある駅から15~20分程歩いたエリアには国民保養温泉地に指定されている温泉街(六日町温泉)があります。
この温泉地に1969年に創業した旅館が「龍言」。新潟県内の豪農の館や武家屋敷など幾つかの古民家を移築して形作られ、この地にかつて存在した坂戸城主・長尾政景の菩提寺『雲洞庵』の末寺『龍言寺』に由来し命名されました。(龍言寺は上杉景勝の移封と共に米沢城下に移転していますが、旅館のそばには長尾政景公墓所と直江兼続公供養塔が残ります。)
将棋竜王戦や囲碁のタイトル戦としても用いられる名旅館として知られていましたが、創業50年を契機として、2019年に施設をリニューアル&リブランディングされ名「ryugon」へと改称。既存の「中門造」の文化財古民家(現:CLASSIC棟)のリノベーションに加え、山手側に池泉庭園の中に浮かぶようなVILLA棟を新築。
「地域と共生する」ホテルというコンセプトの下、ラグジュアリーホテルでありながらクローズドではなく、地域の方が訪れられるカフェやショップを設け、レストランも新潟・魚沼の食材、そしてバーでは新潟の地酒…そしてこれら「消費」だけではなく、地元のスタッフとの料理体験やポタリング(ガイド)、国指定史跡の坂戸山トレッキング、冬にはスノーアクティビティ等々、「泊まる」だけでない地域の体験プランも充実。
広大な敷地の和の旅館には各所に庭園も。
■前庭
■レストランから眺める滝のある庭園
■中庭「坂戸山テラス」
■CLASSIC棟の中庭
■VILLA棟前の池泉庭園
など。旅館の中を巡らせる水の流れ~池泉は龍言寺がこの地にあった時代から豊かに湧く霊泉だそうで“龍神池”とも呼ばれます。またこの水路や池泉は、冬には「屋根から落ちてくる雪を溶かす・消す」という役割もあるのだとか!(雪国ならではの営み)
そんな庭園/ランドスケープも近年リニューアルされ、前庭は植栽や石灯籠のある伝統的なイメージからスタイリッシュな枯山水石庭風に、そして旧来もっと広い池庭だった所を、現在のVILLA棟の庭園を残しながら、新たに屋外で寛げるスペース「坂戸山テラス」が設けられました。ランドスケープデザインはstgk(スタジオ ゲンクマガイ)、植栽計画はTREEFORTE・石川洋一郎さん。
また目に見える庭園だけでなく、庭園の借景にもなっている坂戸山の斜面も『ryugonの森』としてリニューアル/リブランディングの一部に。数十年前に杉が植林されて以来、長らく放置され、日の入らなくなってしまった暗い山を、間伐や元々のこの地の植物を新たに植栽することで、元の山へと整えていくそう。またこの森の自然から生まれた製品(アロマオイルなど)が旅館の売店でも販売されています。
結果的に「アフターコロナ」時代へのリブランディングにもなり、目の前に開放的な緑があり、山があり、庭園があり、自然の恵みであるご飯と温泉があり、急がなくていい。きっとより世界にも届いていくホテル。(でも閑散期を狙えば程々の価格で宿泊できます。) 温泉の泉質は熱湯。熱湯が好みな人にもぜひ体感して欲しい!
(2024年7月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)
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