岡山後楽園

Korakuen Garden, Okayama

日本三名園&“庭の国宝”特別名勝の日本を代表する名庭園。岡山藩主・池田綱政が築いた江戸時代の大名庭園は心のベストテン第一位!

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岡山後楽園について

岡山の「後楽園」(おかやまこうらくえん)は言わずと知れたの一つで、“庭の国宝”国の特別名勝に指定されている代表的な日本庭園。江戸時代初期~中期にかけて岡山藩二代目藩主・池田綱政の命により家老・津田永忠の指揮で作られた“”で、園内からは川の対岸にある岡山城も眺められます。
2022年5月に1年半ぶりに訪れたのでその際の写真を追加して更新。

例年5月の下旬や秋季には江戸時代に藩主の居間として利用された御殿建築“延養亭”の特別公開や、夏季・秋季には夜間『幻想庭園』などの各種イベントも開催され、年間通して観光客のみならず地元の方々も多く訪れます。

>> 秋・紅葉の岡山後楽園の紹介はこちら。

>> 夏の岡山後楽園ライトアップ“幻想庭園”の紹介はこちら。

■鶴鳴館〜延養亭~栄唱の間(4~8枚目)
後楽園の入園口は“正門”とお城寄りの“南門”とありますが、正門を入ってすぐの場所にある御殿風の和風建築が“鶴鳴館”。この後楽園も太平洋戦争の空襲の被害に遭い江戸時代の建築の多くは焼失してしまい、この鶴鳴館は山口県岩国市の旧藩主・吉川家の屋敷を移築されたもの(元の建築ではないというだけで、歴史や格式の重みはある)。なお日本歴史公園100選の『吉香公園』には吉川邸の一部が残ります。

それと連なる茅葺の“延養亭”はかつて藩主の居間として使われた建築。通常非公開ですが、例年5月下旬に特別公開が実施。芝生が青々し、園内がピンク色のサツキの花で彩られるこの時期が岡山後楽園のベストシーズンのひとつ?

そしてその奥に連なるのが“栄唱の間”、その間から眺められるのが池田綱政が好んだ能舞台。こちらも普段は公開されない場所ですが、後楽園にとってお能は切っても切り離せないもの(なのかもしれない)。いつか建物内部のイベントも参加したいな。

栄唱の間の向かいにある池泉庭園“花葉の池”の中の巨石“大立石”は池田綱政が1691年(元禄4年)に運ばせた庭石。今は一つの巨石に見せていますが、重機などなかった当時は巨石を90個ほどに割って運びそれを元の形に組み上げたのが今の姿。“一番重要な庭石”が眺められる栄唱の間が後楽園にとって一番最初の視点場だったのかもしれない。

■廉池軒(14〜15枚目)
“南門”を入ってすぐの場所にある池泉と茅葺の茶店っぽい建築が廉池軒(れんちけん)。池田綱政が最も好んで利用したといわれる場所で、戦災を免れた貴重な建築のひとつ(*と言っても戦前の1934年に再建された姿なので江戸時代から残るわけでもない)。ちなみに南門の近くに、後楽園では決して多くない桜の木があります。

■唯心山(21〜25枚目)
後楽園の一番のビューポイントが園内中央に築かれた築山“唯心山”。綱政の子・池田継政の代の時に築かれ、庭園全体や岡山市内のビル群、眼の前の大海を表現したような“沢の池”の眺望を楽しむことができます。

■流店(17〜20枚目)
そんな唯心山の奥にある和風建築が“流店”。かつて藩主や賓客の休憩所として使われた、いわゆる四阿みたいな建築なのだけど、その中央に水路を通して庭園の一部として溶け込ませているのがその特徴。せせらぎを聞きながら涼める現代でも後楽園の一番人気?の休憩スポット。
そんな流店からすぐの場所には八橋の架かる花菖蒲畑とソテツ群があります。花菖蒲ももうじき見頃!

岡山後楽園は藩主のために造られた広大な庭園でありながらも、江戸時代から“御庭拝見日”がもうけられ領民が園内を散策することも許されたそうで、能を好んだ池田綱政は自らが舞う姿まで民に披露していたそう。

版籍奉還後に池田家から岡山県へと譲渡され、今日でもこの庭園が多くの市民や世界中から人が訪れる場所となっているのは、池田綱政が“開かれた庭園”を望んだからこそ、描かれた未来なのかもしれない。

そして個人的にも、後楽園は高校生の修学旅行で初めて訪れて“庭園”というものに興味を抱くきっかけになった心のベストテン第一位。(中学の修学旅行で行った金閣寺や銀閣寺は建物が有名過ぎて庭園として見ていなかったので…)
岡山なんて地味だな〜と思っていたけど、自由行動で後楽園に立ち寄っていなければこんなに庭園巡ったりウェブサイト作ったりしなかったと思う。(今は減ってるけど、)そんな場所に世界各地の観光客が訪れ世界で知られるようになるものは嬉しいもんで。あと門前にカフェ・キツネが出来たり、そういうファッション/カルチャー的な捉えられ方をしてるのも嬉しいんすよね。今後も何度も訪れます!

なお、池田綱政の命でにより造られた庭園としては同じく岡山市内にある『曹源寺庭園』があります。駅からはかなり離れていますが、もし後楽園の庭園目的で岡山市に訪れる人が居たらば併せてチェック!

(2009年3月、2016年3月、2018年5月、2019年8月、2020年11月、2022年5月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)

アクセス・住所 / Locations

JR山陽新幹線 岡山駅より路面電車「城下」電停下車 徒歩8分
岡山駅より徒歩25分(にシェアサイクルあり)

〒703-8257 岡山県岡山市北区後楽園1-5 MAP

投稿者プロフィール

イトウマサトシ
イトウマサトシ
Instagram約9万フォロワーの日本庭園メディア『おにわさん』中の人。これまで足を運んで紹介した庭園の数は1,900以上。執筆・お仕事のご依頼も受け付けています!ご連絡はSNSのDMよりお願いいたします。
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