春日大社からすぐ。近代に志賀直哉/武者小路実篤らが集った奈良の別荘群“高畑サロン”をルーツとする旅館の庭園。
KKR奈良御蓋荘(茶寮みかさ)庭園について
【宿泊者・施設利用者向け】
「KKR奈良みかさ荘」(けーけーあーるならみかさそう)は文豪・志賀直哉をはじめ近代に多くの文人・画家が暮らし“高畑サロン”とも呼ばれた奈良・高畑エリアにある旅館。昭和初期の近代別荘建築が本館としてそのまま活用され、座敷からは春日山原始林を借景とした庭園を眺めることができます。
2020年に初めて訪れて超良かった奈良県指定有形文化財『志賀直哉旧居』。その時にも書いたけれど、春日大社の南側の閑静な住宅地「奈良・高畑」地区は志賀直哉の他にも武者小路実篤や尾崎一雄、梅原龍三郎など著名な文人墨客が移り住み集った別荘エリア。現在も雰囲気ある邸宅が立ち並びます。
で、志賀直哉旧居に訪れた時に通り掛かって気になっていたのがこの旅館。こちらも元は1933年(昭和8年)に建築された呉服商の別荘で、現在は国家公務員共済組合連合会の組合員向けの宿泊施設となっています。(組合員以外の利用も可能)
大手宿泊予約サイトでも出てくるので閑散期にでも泊まりに行きたいなと思いながらなかなかタイミングが無く…宿泊じゃなくても『茶寮みかさ』での食事利用(※数日前までに要予約)という選択肢に気づき、2021年9月に初めてランチ利用で訪れました。
数寄屋風建築と庭園の景色とともに食事を味わった後、スタッフの方にご案内いただいて庭園を見学。サツキ・ツツジの刈込を主体とした枯山水庭園で、以前は庭園背後(敷地外)の樹木が低く、若草山を借景に望むこともできたみたい(パンフレットにはその写真が。昭和の時代かなあ…)。
建物際のでっかい沓脱石、牛に見立てたような巨石、そして“庭伽藍”と呼ばれるものではなくガチの伽藍石なんじゃないかなあと感じる礎石など、近代の別荘の面影を感じる石造物も点在。スタッフの方に言われて気づいたけど、手水鉢もよく見ると神社の石鳥居をぶっ刺したような姿!
『菊水楼』にも廃仏毀釈の余波による古建築が移築されたように、この別荘の色々も色々謂れがありそうなんだけど、「あまりそういった突っ込んだことを調べたいという方は来たこと無い」みたいな反応でした。気になるな~。
庭園の背後はもう『春日大社』の境内。“ささやきの小径”こと下の禰宜道を通って本殿までは歩いて10分かかるかかからないか。宿泊施設が少ない奈良、その中で“奈良らしさを感じられる旅館”を探している方にオススメしたい庭園宿!
(2021年9月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)
アクセス・住所 / Locations
JR奈良駅・近鉄奈良駅より路線バス「破石町」バス停下車 徒歩5分
近鉄奈良線 近鉄奈良駅より約2km(徒歩25分弱・レンタサイクルあり)
JR関西本線 奈良駅より約2.5km(徒歩30分強)
〒630-8301 奈良県奈良市高畑大道町1224 MAP