立本寺庭園“龍華苑”

Ryuhonji Temple Garden "Ryuge-en", Kyoto

京都・西陣に建つ“日蓮宗京都八本山”の一つ。江戸時代末期作庭の大きな築山が独特な枯山水庭園は京都市指定名勝。

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立本寺庭園“龍華苑”について

【要予約】
「西龍華 具足山 立本寺」(りゅうほんじ)は京都・西陣の北野商店街を少し下った場所にある日蓮宗の本山寺院で、“日蓮宗京都八本山”の一つ。
その庭園“龍華苑”が京都市指定名勝となっているほか、表門(総門)・本堂・客殿・鐘楼・刹堂(鬼子母神堂)や本堂内の渡辺始興筆の十六羅漢図が京都市指定有形文化財。

こちらのお寺さんに文化財庭園があると知ったのはけっこう前だったんだけど、当時はまだ公式HPが無くて…拝観できるのかな?と思ったまま時間が過ぎ。今年に入って公式HPが出来てたこと・予約制で庭園拝観可能なことを知って、2021年4月に初めて拝観しました。

元を辿ると、鎌倉時代に創建した日蓮宗の大本山『妙顕寺』が立本寺のルーツ。山号も同じ“具足山”で、妙顕寺・妙覚寺とともに“三具足山”と呼ばれます。御本尊は仏像ではなく、開山・日像上人の筆による“十界曼荼羅”。
かくかくしかじかあって立本寺として分かれ、現在地に移ったのは江戸時代中期の宝永の大火(1708年)の後。

1728年(享保13年)に再建された客殿“園林堂”の西側・南側に面する形で京都市指定名勝の枯山水庭園“龍華苑”(龍華庭園)があります。作庭年代は京都市の文化財解説では建物よりは遅く(新しく)、江戸時代後期の1843年(天保14年)〜1850年(嘉永3年)に第50世の日到上人の手により作庭。(お寺の解説文には「移転した頃からの約300年の歴史ある庭」とも。)

なお現代に至り庭園の様子が様変わりしていた所から、2011年(平成23年)までにかけて京都造形芸術大学の中村利則教授・仲隆裕教授を中心に同大学の学生や近隣住民の手によって当初の庭園の姿に復元されました。当時から10年経ってはいるけど、多少新しい感じがするのはそうした背景によるもの。

京都の平地の(これぐらいの規模の)寺院庭園で、ここまではっきりと築山が築かれた庭園って実はあまり無いので独特な印象を受ける庭園。
日到上人が日像上人へのご報恩のために作庭されたものと推測されていて、大きな築山はお釈迦様が法華経を説いた“霊鷲山”に見立てるなど、立本寺が所有する国指定重要文化財の“金字法華経宝塔曼荼羅図”の世界観が表現されています。

なお金字法華経宝塔曼荼羅図は現在京都国立博物館に寄託中。客殿では実寸大レプリカを間近で見ることができます。あと雪舟作の“寒山拾得図”なども。また数ある京都の寺院の中で、数少ない宿坊のあるお寺さんでもあります(宿坊 四神閣)。

2021年6月、所有する仏像“月天子”が盗難されたというニュースが報じられました。なんて罰当たりな…無事見つかることを祈りたいです。

(2021年4月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)

アクセス・住所 / Locations

JR嵯峨野線 円町駅より徒歩18分
京福北野線 北野白梅町駅より徒歩11分
本数が多い近いバス停は「千本中立売」バス停 徒歩7分

〒602-8345 京都府京都市上京区一番町107 MAP

投稿者プロフィール

イトウマサトシ
イトウマサトシ
Instagram約9万フォロワーの日本庭園メディア『おにわさん』中の人。これまで足を運んで紹介した庭園の数は1,900以上。執筆・お仕事のご依頼も受け付けています!ご連絡はSNSのDMよりお願いいたします。
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