平野の家 わざ 永々棟

Hirano-no-ie Waza Eieito Garden, Kyoto

北野天満宮や平野神社からすぐ。画家・山下竹斎が自邸/アトリエとした大正時代の近代和風建築。“京都を彩る建物や庭園”選定。

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平野の家 わざ 永々棟について

【イベント時のみ公開】
「平野の家 わざ 永々棟」(ひらののいえ わざ えいえいとう)は大正時代に日本画家・山下竹斎の邸宅兼アトリエとして建てられた近代和風建築で、“京都を彩る建物や庭園”に選定。梅の名所『北野天満宮』の西、桜の名所『平野神社』のすぐ南に位置し、通常非公開ですが初春の『雛祭り』の季節にイベントが開催、公開されます。2022年に初めて訪れました!

山元春挙に師事し、近代~昭和にかけて活躍した日本画家・山下竹斎の1926年(大正15年)に建てられた自邸。この邸宅から西へ500m程の場所には同じく近代に活躍した日本画家・木島桜谷の邸宅『櫻谷文庫』が残り、当時この一帯には多くの画家が移り住み“衣笠絵描き村”と称されました。

そして現在運営するのは京都・岩倉の山本興業株式会社。国内外、文化財を含め数寄屋建築/社寺建築の設計・施工を手掛ける会社さんで、これまで当サイトで紹介している中では『大徳寺 黄梅院』の茶室“一枝庵”“向春庵”や、三重県・四日市市茶室『泗翠庵』があります。

年800軒の京町家が消失している…と言われる昨今(コロナ禍ではもっと増えててもおかしくない)、この邸宅はいわゆる“京町家”ではないかもだけど、大工・左官・庭職人などの伝統技術を活かす場、そして若手の訓練の場として、自社で3年かけて修復・再生したのがこの“わざ 永々棟”。この名には“ものづくりの技と心を永々と未来に繋いでいきたい”というメッセージが込められています。

外観は和風建築なんだけど、内部にはフランス・エラール社の1922年製のグランドピアノが置かれたサンルームや美しいステンドグラスが複数見られる和洋折衷の近代和風建築(※ステンドグラスは京都工業繊維大学の学生有志と岡本喜十郎さん製作による現代のもの)。
近代の意匠を残し・活かしながら、太陽光発電、床暖房、電気自動車など現代の暮らしに対応する形での改修がされています。

常時公開ではなく、普段は山本興業さんでの工事を検討されている方向けの見学や、茶道・いけばな教室で用いられている…といった形ですが、例年雛祭りの季節に特別公開(2022年は4月3日まで)。2022年の展示では公家の最上級“五摂家”筆頭・近衛家ゆかりのお雛様道具の特別展示も。

その展示の後は庭園も回遊させていただいた。茶室“聚楽庵”へと至る曲がりくねった露地をゆく、そして奥には座敷から眺める主庭の枯山水庭園があります。白砂と築山、周囲にサツキの刈込の現代のお庭。背後の遮蔽してる樹木がなければ北野天満宮の境内が森のように見えたのかな。

この様に職人さんの会社が、自分たちの技を活かした「自社運営のスペースを持つ」っていい。実体のある『オウンドメディア』を持っておられるというか。竹中工務店の『聴竹居』とかもそうなんだけど。また別の季節のイベント時にも訪れたい!

(2022年3月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)

アクセス・住所 / Locations

嵐電(京福)北野線 北野白梅町駅より徒歩5分
JR嵯峨野線 円町駅より徒歩20分
最寄りバス停は「北野白梅町」「衣笠校前」バス停 徒歩3分

〒603-8323 京都府京都市北区北野東紅梅町11 MAP

投稿者プロフィール

イトウマサトシ
イトウマサトシ
Instagram約9万フォロワーの日本庭園メディア『おにわさん』中の人。これまで足を運んで紹介した庭園の数は2,000以上。執筆・お仕事のご依頼も受け付けています!ご連絡はSNSのDMよりお願いいたします。
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