かつて国宝“興福寺”の門跡寺院だった“大乗院”。京都の世界遺産・銀閣寺の庭園を作庭した善阿弥による室町時代随一の広さの池泉庭園。国指定名勝。
旧大乗院庭園について
「旧大乗院庭園」(きゅうだいじょういんていえん)は室町時代に京都の世界遺産『慈照寺(銀閣寺)』の庭園の作者・善阿弥により作庭されたと伝わる日本庭園。国指定文化財(国指定名勝)に選定。
国宝・世界遺産の寺院『興福寺』の門跡寺院の一つとして平安時代に創建された「大乗院」。明治維新後の廃仏毀釈で廃寺となり、かつての境内地は現在隣接するクラシックホテル『奈良ホテル』の建設地に転用されたものの、古庭園は潰されずに残されました。(*なお庭園内にあった茶室“含翠亭”は『奈良国立博物館』の庭園に移築)
その後価値が見直され、当時奈良文化財研究所で室長を務めていた昭和を代表する庭園研究家/造園家・森蘊さんの指揮の下で江戸時代末期の絵図『大乗院四季真景図』の姿に復元。平城京1300周年にあわせて2010年から一般公開が開始されました。
当初この庭園が形作られたのは室町時代。平安時代の創建の後に平家による「南都焼討」などにより一時は荒廃したものの、この地で再興された際に善阿弥により築庭(※元々あった庭園を改造した、という一文も)。『銀閣寺』の庭園で善阿弥を登用した室町幕府8代将軍・足利義政はこの庭園にも拝観に訪れたとか。
これまで冬・夏と2度訪れましたが、現在は芝生で緑が表現されているので暖かい時期の方が映える庭園。庭園内の場所によって高円山・春日山といった奈良の山々を借景とするのも美しい!庭園内の草花では手前のサルスベリが見所の一つで、9月中旬にはサルスベリのピンクの花で染まっていました。
奈良は『平城京東院庭園』や『円成寺庭園』と広い池泉による浄土式庭園が多いのであんまり違和感はないのですが、室町時代の庭園で寺院のものというのを考えると実はこの庭園はかなり大規模な池泉回遊式庭園(匹敵するのは京都の『金閣寺』ぐらい?)という気がするので、その点からも当時の興福寺の繁栄を感じます。
また受付となっている博物館では大乗院に関する資料展示のほか、2階から庭園を眺めることもできます。夏には夜間公開も開催!
(2014年1月、2018年9月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)
アクセス・住所 / Locations
近鉄奈良線 近鉄奈良駅より徒歩15分
JR奈良線 奈良駅より徒歩20分
奈良駅・近鉄奈良駅より路線バス「福智院町」または「奈良ホテル」バス停下車すぐ
〒630-8301 奈良県奈良市高畑町1083-1 MAP