雪の京都仙洞御所

Kyoto Sento Gosho Garden (Snow), Kyoto

現代も天皇皇后/上皇皇太后両陛下の御宿泊所となる『京都大宮御所』も。雪景色も美しい、後水尾上皇と小堀遠州により作庭された広大な庭園。(事前予約制)

庭園フォトギャラリーGarden Photo Gallery

雪の京都仙洞御所について

【事前予約制/空きがあれば当日受付も】
「仙洞御所」(せんとうごしょ)は天皇を退位された上皇・法皇の居住する御所。『京都御苑』内にある「京都仙洞御所」(きょうとせんとうごしょ)は江戸時代初期に後水尾上皇の御所として造営された宮殿で、約9万平方メートルの広大な敷地の大部分を大名茶人・小堀遠州や茶道石州流の祖・片桐石州、後水尾上皇本人が作庭に関わったとされる庭園が占めています。
2019年に明仁天皇が譲位し上皇になられたことに伴って「京都仙洞御所」に改称されました。

何度か訪れている京都仙洞御所ですが、2023年1月に雪の残る御所に初めて観覧した際の写真を紹介!
⇨緑茂る時期の『京都仙洞御所』の写真はこちらから。

かつて代々の天皇が居住し政務が執り行われた「内裏」(『京都御所』)の南東部に位置する京都仙洞御所。京都御所と同じく宮内庁によって管理されており、事前予約制(空きがある場合は現地で当日受付も)/職員の方の解説ツアー形式で一般公開されています。申込の詳細は宮内庁公式サイトにて。

その歴史について。後に『修学院離宮』を造営したことでも有名な後水尾天皇が退位後の御所として1630年(寛永7年)に造営したのがその始まり。正式名称は「桜町殿」。
なおそれ以前(桃山時代以前)は上皇の御殿は特に定まっておらず各地に点在していたそうですが、後水尾上皇以降はこの地に定まり、霊元上皇、中御門上皇、桜町上皇、後桜町上皇、光格上皇の御所として用いられました。

しかし1854年(嘉永7年)の大火で往時の建造物は焼失。同時にその被害にあった京都御所が再建される一方で、その時代に上皇が不在だったこともあり仙洞御所は再建されず。現在では広大な庭園と2つの茶室、そして「京都大宮御所」の御常御殿のみを残します。

■京都大宮御所(2〜4枚目)
施設名としては「京都仙洞御所」ですが、順路最初に外観を見学する『京都大宮御所』(きょうとおおみやごしょ)は本来は異なる別の御所。
現在の京都大宮御所は後水尾天皇の正室・東福門院のために造営された「女院御所」を前身として、幕末の1867年(慶応3年)に孝明天皇の女御・英照皇太后のために造営されたもの。

現在も天皇皇后両陛下や上皇皇太后両陛下が京都に来訪する際はこちらに宿泊されるそうなので、内部の様子は見学の際も伺うことはできませんが、欧米の賓客(チャールズ皇太子など)の来日の際にも宿舎として使われたことをきっかけに内装は洋風に作り替えられているのだそう。
「御常御殿」の前には紅梅・白梅・竹林・マツの木による“松竹梅の庭”が広がります。

■北池(5〜13枚目)
大きな2つの池泉回遊式庭園“北池”“南庭”で構成される京都仙洞御所の庭園。まずは“北池”。天気が良い日は正面に見える東山の借景が美しい!

最初に渡る石橋“六枚橋”の周辺の“阿古瀬淵”と呼ばれる池は、平安時代の歌人・紀貫之の邸宅がかつてこの辺りにあったことから名付けられた場所。また豊臣秀吉が『聚楽第』の後に築いた本邸『京都新城』の庭園の遺構とも伝わります。
水の流れを眺めながら大きな池を回遊すると、モミジが美しいエリア〜苔の美しい園路…といった風景の変化を楽しめます。

また順路としては最後に解説を受けるのが北池のほとりにある茶室“又新亭”。明治時代に五摂家の近衛家から献上された茶室で、海外からの賓客が大宮御所に泊まられた際などに日本の文化/茶道を体験していただく際に用いられているとか。

■南池(14〜28枚目)
そして藤棚に覆われた石橋“八ツ橋”が目印の“南池”へ。仙洞御所の作事奉行だった小堀遠州が作庭した庭園を後に後水尾上皇が改修を手掛け、当初の遺構は八ツ橋を渡った先で見える直線的な護岸が残るとか。ちなみにこの八ツ橋、英語表記では“Zigzag Bridge”なのが少し面白い。

八ツ橋を中心に北側は紅葉橋と大きな滝が美しく、そして池の南〜西部分はびっしりと敷き詰められた小石による洲浜が美しい。敷き詰められている石の数はなんと約12万個!小田原藩主・大久保忠真が一石につき米一升で運ばせたため、“一升石”と言われるそう。小田原藩主・大久保家の庭園としては東京の『旧芝離宮恩賜庭園』も石にこだわった庭園として有名。

南池のほとりにある茶室が“醒花亭”。先の“又新亭”とはまた異なるタイプの開放的な煎茶を楽しむ茶室で、室内の意匠も『桂離宮』の“笑意軒”にも負けず劣らずカッコいい!そしてその前にの雪に覆われた庭は普段は苔の美しい庭園。

京都仙洞御所、これまで4回見学して2回が当日受付。1時間の案内で途中離脱はできませんが意外とあっという間。次回はまた春の時期に見に行きたい!

(2023年1月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)

アクセス・住所 / Locations

京都市営地下鉄烏丸線 丸太町駅より徒歩10分
京阪本線 神宮丸太町駅より徒歩約15分
最寄バス停は「荒神口」「烏丸下長者町」バス停 徒歩約10分

〒602-0881 京都府京都市上京区京都御苑2 MAP

投稿者プロフィール

イトウマサトシ
イトウマサトシ
Instagram約9万フォロワーの日本庭園メディア『おにわさん』中の人。これまで足を運んで紹介した庭園の数は2,000以上。執筆・お仕事のご依頼も受け付けています!ご連絡はSNSのDMよりお願いいたします。
PICK UP - TOUR / EVENT
MEDIA / COLUMN
最新の庭園情報は約10万人がフォローする
【おにわさん】のSNSから。