
ファジアーノ岡山のスタジアムから最も近い庭園は、かつて中国銀行の寮に作庭のお庭。岡山後楽園の作者・津田永忠設計の“田原井堰”から移された滝石組も。
吉備路文学館庭園“北泉庭”について
「吉備路文学館」(きびじぶんがくかん)は岡山県に本店を置く地銀「中国銀行」の創立50周年して1986年(昭和61年)秋に設立された文学博物館。内田百閒・坪田譲治・小川洋子・あさのあつこなど吉備路(岡山県~広島県東部)出身及びゆかりの作家/文筆家に関する品々を収蔵、企画展を開催。建物の脇~裏に沿って池泉回遊式の日本庭園“北泉庭”があります。
何度か訪れていますが、紅葉の時期にたまたま二度立ち寄ったのでその季節の写真を中心に紹介。
初めて訪れた時には事前には知らずに、Jリーグ・ファジアーノ岡山のホームスタジアム・シティライトスタジアム(桃太郎スタジアム)から日本三名園『岡山後楽園』へと自転車を走らせている途中にたまたま通り掛かった。スタジアムから徒歩10分弱。
ちなみに最初に気になったのはこの文学館よりも向かいの和風邸宅…この向かいの施設は『中銀南方クラブ』という中国銀行の迎賓館。元々は頭取の邸宅だった場所で(→2024年訪れたので別途紹介)、その中銀南方クラブの並びにある『紬屋旅館』も築80年の和洋折衷の近代建築をリノベーションした旅館と、「岡山市にこんなエリアあったのか…」とレトロな雰囲気のある一角。
この文学館も前庭が池泉庭園になってるし…と思って入場してみたら、やはり庭園があった!なお庭園そのものは展覧会を見ずとも開館時間は自由に散策できます。
文学館の庭園“北泉庭”の歴史は文学館より古く、以前この地にあった中国銀行の「北泉寮」の庭園として作庭されたもの。池泉は近くを流れる「西川」の流れを引き入れているもので、文学館奥から脇を通って前庭へと繋がっているこの水路は更に、文学館南の中銀南方クラブの“洗心庭”へと繋がっているそう。
北泉庭の滝石組は『岡山後楽園』を作庭した岡山藩重臣・津田永忠の設計による土木遺跡「田原井堰」から譲り受けて石組を再利用したもの。その他、雪見灯籠、宝篋印塔、石橋などの石造物や、モミジやカイヅカイブキ、鬱金桜といった樹木は当地の武家屋敷にあったものを現代に受け継いでいるのだとか。
展示会のほかにも文学にまつわるイベントや、ミニコンサートやシアター、お茶会など“カルチャースペース”として様々なイベントを実施。シティライトスタジアムに訪れる方で文化施設や文学が好きな方はぜひ立ち寄ってみて。
(2020年11月、2021年4月、2024年11月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)
投稿者プロフィール
