かつて中国銀行の寮に作庭された庭園。岡山後楽園の作庭者・津田永忠設計の“田原井堰”から移された滝石組も。
吉備路文学館“北泉庭”について
「吉備路文学館」(きびじぶんがくかん)は1986年(昭和61年)秋に岡山県に本店を置く地銀・中国銀行の創立50周年して設立された文学博物館。内田百閒・坪田譲治・小川洋子・あさのあつこなど吉備路(岡山県~広島県東部)出身及びゆかりの作家/文筆家に関する品々を収蔵、企画展を開催。建物の脇~裏に沿って池泉回遊式庭園があります。
2020年11月に初めて訪れ、2021年4月の“欝金桜”が咲きはじめの頃に近くを通り掛かったので再訪。
初めて訪れた時にはここは事前に知っていた場所ではなく…シティライトスタジアムから日本三名園『岡山後楽園』へと自転車を走らせている途中にたまたま通り掛かった。
最初気になったのはこの文学館よりも向かいの(豪邸って感じの)土塀…この向かいの施設は『中銀南方クラブ』という中国銀行の迎賓館。迎賓館としての竣工は1994年なんだけど、土塀の雰囲気やなんかはもっと歴史を感じるし(近代和風建築風)、憶測で言うと元々は頭取の大邸宅とかだったのかなあと。
中銀南方クラブの並びにある『紬屋旅館』が築80年の和洋折衷の近代建築をリノベーションした旅館なんですけど、これも中銀の役宅とかだったんじゃないかとか想像。岡山市にこんなエリアあったのか(なおベネッセ本社もすぐ近く)。
そんな雰囲気ある一角だし、この文学館も前庭が池泉庭園になってるし…と思って入場してみたら、やはり庭園があった!なお庭園そのものは展覧会を見ずとも開館時間は自由に散策できます。
この庭園“北泉庭”の歴史は文学館より古く、以前この地にあった中国銀行の「北泉寮」の庭園として作庭されたもの。寮に日本庭園ってすごい時代…。
この池泉は近くを流れる「西川」の流れを引き入れているもので、文学館奥から脇を通って前庭へと繋がっているこの水路は更に、文学館南の中銀南方クラブの“洗心庭”へと繋がっているそう。
北泉庭の滝石組は『岡山後楽園』を作庭した岡山藩重臣・津田永忠の設計による土木遺跡「田原井堰」から譲り受け石組を再利用したもの。その他、雪見灯籠、宝篋印塔、石橋などの石造物や、モミジやカイヅカイブキ、鬱金桜といった樹木は当地の武家屋敷にあったものを現代に受け継いでいるのだとか。
展示会のほかにも文学にまつわるイベントや、ミニコンサートやシアター、お茶会など“カルチャースペース”として様々なイベントを実施。…ある時の茶会では南方クラブを会場としてたこともあるみたいなんですよね…次回その機会あったら試合なくても岡山行こ…。
(2020年11月、2021年4月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)