
名僧・行基の足跡も残る“的形”の塩田庄屋を舞台に10年間人気を集めたブランド“井上茶寮”。モダンな内装に溶け込むお庭も。【2026年10月営業終了】
井上茶寮について
【2026年10月25日まで現店舗で営業】
「井上茶寮」(いのうえさりょう)は兵庫県姫路市の的形町に2017年3月にオープンしたお茶と和菓子のブランドで、独創的な和菓子「カヌレ羊羹」などで知られています。その店舗は築100年超という塩田庄屋の屋敷として受け継がれてきた古民家を活用したもので、ギャラリー『M1997』を併設。お庭の作庭は兵庫の若手庭師、“庭計”藤本計司さん。
ブランドのリニューアルに伴い2026年10月25日をもって現店舗での営業終了が発表され、25日まではギャラリーで最後の展覧会『包む』展が開催されています。
以前紹介した、千宗旦(千利休の孫)の高弟・杉木普斎が作庭と伝わる庭園の残る『万宝寺』と同じ、姫路・的形エリアのお庭をもう一つ紹介。姫路市の南東部に位置する旧・的形町は江戸時代には一面が塩田だった言われるほど製塩業が栄えたエリア。さらに歴史をさかのぼると、海岸には奈良時代の高僧・行基にまつわる岩場「行基が鼻」があります。近くの『海獄寺』も行基が735年に創建したと伝わる古刹。
的形駅から徒歩15分ほどの場所に位置する「井上茶寮」も、海水浴場から程近い、昔ながらの町並みが残る集落の一角にあります。築100年を超える和風建築はかつて塩田庄屋の屋敷だったそう。外観は歴史を感じさせる佇まいですが、玄関から中へと入ると一転してモダンな空間が現れます。歴史的空間のリノベーションを経て、2017年に井上茶寮はオープン。(※なお、井上茶寮の人気商品は実店舗のみならずオンラインショップ等でも注文できます!)
店舗カウンターから坪庭を挟んだ先に広がるのが、ギャラリー『M1997』。2020年にアーティスト・イン・レジデンススペースとして公開された空間で、先述の通り現店舗での営業終了を前に最後の展覧会『包む』展が開催。雑誌『民藝』編集長で「須浪亨商店」の代表でもある須浪隆貴さんのコレクションや作品が並びます。
お庭も建築のリノベーションとともにリニューアルされたもの。門をくぐって玄関へと続く前庭、玄関先の円窓からのぞく坪庭、そしてギャラリーから眺める主庭と、建物の内外にそれぞれ異なる趣のお庭が設けられています。作庭を手がけたのは、兵庫の若手庭師“庭計”藤本計司さん。京都の『LE LABO KYOTO MACHIYA』や『HaaT / KYOTO』のお庭も手がけられた方。
玄関前の細かな敷石や主庭の経年を感じる手水鉢など伝統や歴史を感じさせられる部分もありながらも、坪庭はモダンな建築な雰囲気にもマッチする作風。前庭〜主庭にも坪庭にも、海沿いの土地ならではの奇石が随所に用いられているのもポイント!この邸宅の歴史や土地の風土を感じさせながら、現代的な感性も取り入れたお庭になっています。
そして、現在は展示室の一部となっているお茶室も明るく開放的でかっこいい。矢先のある天井はかつてこの土地で運行していた船材でしょうか…?
歴史を感じる古民家を舞台とした現代の施主や建築家、庭師の想いが感じさせられる空間…現店舗での営業は2026年10月25日まで。お近くの方は、ぜひ最終営業日までに訪れてみて。
(2024年12月、2026年10月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)
投稿者プロフィール

- Instagram約9万フォロワーの日本庭園メディア『おにわさん』中の人。これまで足を運んで紹介した庭園の数は2,000以上。執筆・お仕事のご依頼も受け付けています!ご連絡はSNSのDMよりお願いいたします。
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