愛媛県で一番の高層建築に現代の作庭家・枡野俊明と佐野藤右衛門(植藤)が作庭したホテル庭園の傑作“瀑松庭”。
今治国際ホテル庭園”瀑松庭”について
「今治国際ホテル」(いまばりこくさいほてる)は今治市の代表的シティホテル。100mを超える高さは愛媛県で1位・四国で4位の高さをほこる高層建築で、今治のランドマーク的な存在。
ロビーラウンジの正面から眺められる日本庭園“瀑松庭”の作庭は現代日本の有名作庭家のひとり・枡野俊明と京都を代表する庭師・佐野藤右衛門(植藤造園)により作庭されたもの。館内の日本料理店“伊予路”の利用で庭園を歩くことができます。
2021年春の広島庭園巡りは『耕三寺』からしまなみ海道を抜けて今治へ。この庭園、実は初めましてではなく2015年にも一度訪れていた…んだけどその時の今治は丹下健三建築の方への興味が強くて、庭園はロビーから少し眺めただけで前述の作庭者のことも知らない頃だった。今回はほぼ初めてという気持ち!
JR今治駅と“日本100名城”今治城の間に、1996年(平成8年)に開業したこのホテル。355室の客室に各種レストラン、そして露天風呂付き大浴場やトレーニングジム、プールに展望ラウンジと愛媛県を代表するホテルのひとつ。ロビーには石彫家・和泉正敏さんの作品“雫”や、東郷青児、上村淳之、中島千波、中路融人といった近現代の画家の絵画作品が並びます。
そしてロビーラウンジや日本料理店“伊予路”から眺められる現代日本庭園“瀑松庭”。これまで幾つか枡野俊明さんの庭園を見た中で、今の所ここが一番素晴らしい!と思ったかも。
手前にロビーラウンジから正面に見て手前に枯山水庭園。中間に横たわった赤っぽい巨石と滝を挟んで、奥には“伊予路”の離れ座敷“松泉亭”。松泉亭の玄関の脇に、庭園名にもなっている主木のクロマツが見える。主木はマツなんだけど庭園の左右上下から覆いかぶさる紅葉の雰囲気もすごく良い。
庭へ出ると、一枚岩の大橋が印象的な枯山水庭園へ。この枯山水は“瀬戸内海の景色、海と島々をモチーフとして抽象化した”というデザインコンセプト。
『松泉亭』の玄関の先には露地庭と茶室もある…のですが、見学はここまで。茶室の名前はなんて言うんだろう、公式サイトにも載ってない…(使っているのかな…)。
で、この庭園がかっこいいのは、1階部分にある沓脱石のような横たわった石を境に、滝が地下1階に落ちていること。“山の斜面を利用して”とかではない、現代の都市の中での立体表現。(『リーガロイヤルホテル大阪』や『ホテルオークラ神戸』の庭園のように昭和までは滝の為に築山を造るのがスタンダードだったのかなと思う)
なので――庭園の全貌を見るためには“伊予路”だけではなく地下一階の中華料理店“龍宮”も利用しなければ見られない。なので今回は1階からの庭園の姿のみ…2店舗入れる胃袋じゃないのが悩ましい…!次回愛媛・今治の方行く時には“龍宮”に入ろう。決してすごく広い庭園というわけじゃないけど、その中に魅力が凝縮された現代庭園の傑作。
※なおロビーラウンジは日中営業しているけど、“伊予路”はランチとディナー時しか開かないのでご注意を。
(2015年3月、2021年5月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)