仙石庭園(春)

Stone Park Yamana "Senseki Garden", Higashi-Hiroshima, Hiroshima

2020年に日本初の“庭石博物館”に登録、そして庭園面積も7000→12,000坪に拡張!日本全国の銘石/巨石/奇石が集う、カラフルな庭石が楽しい“現代・令和の大名庭園”。

庭園フォトギャラリーGarden Photo Gallery

仙石庭園について

「仙石庭園」(せんせきていえん)は東広島市にある約12,000坪(4万平方メートル)の面積をほこる広大な日本庭園。日本全国の銘石・巨石・奇石が見られる池泉回遊式庭園で、2020年には日本国内で初めての“庭石”の博物館として登録されました。園内には庭園レストラン“石庭”やバーベキューサイトも。

>> 初めて訪れた時の紹介文はこちら。 少し主観性が強いテキスト、書き換えるのも勿体ないのでそのまま残しておきます。

2019年に初めて訪れ紹介した際は約7,000坪の庭園だった仙石庭園。その後さらに庭園が拡張されたということで2023年春に3年半ぶりに訪れました。ここではその写真を中心に紹介。

2017年に開園した仙石庭園、造園がはじまったのはそこから遡って2000年前後のこと。苑主/館長・山名征三さん(本業は医師)が行き場を失った庭石/銘石との出会いから事を発し、以来四半世紀に掛けて自らの企画・設計・施工にて作庭が続けられています。
そう、これだけ大規模な庭園が公共ではなく個人により作庭されていたことがまず驚愕。そしてプロではなく好事家個人により作庭されていることにまた驚き!

4万平方メートルの中には3つの池泉回遊式庭園がある、まるで江戸時代の“大名庭園”のようなこの庭園。“庭石博物館”に登録された通り合計数千個、1万トン以上の庭石が一同に介しているのがこの庭園の特徴。

銘石として人気の伊予の赤石・青石を中心に、北は北海道・日高の赤石、京都でもなかなかお目にかかれない紅加茂石、南は九州の巨石まで(詳しくは訪れてマップを見てみて…!)。四季の花々はもちろん、本当に全国各地の庭石が一同に介しているので「こんな色の石があるんだ…!」というカラフルな庭園の姿を楽しむことができます。(庭石だけでなく江戸・寛永寺の大きな石灯籠や神戸・灘御殿より移設された十三重塔といった歴史的な石造物も。)

園内には一面のモミジを目の前にのぞむお食事処「石庭」や原石・盆石が鑑賞できる展示スペース、ピザ窯のあるバーベキュー場も(薪には庭園の維持管理の中で出た木材が用いられているとか)。そして今後はキャンプ場/オートキャンプ場/グランピング場のオープンが予定されていて庭園とアウトドアの融合を試みていかれるとか。

この辺までが基本情報の紹介。最初の紹介で書いたことの繰り返しになってしまうけれど、この庭園のすごさは、(庭石のすごさは勿論として)「現代の日本人個人が庭園がこれを作庭している」という点。

苑主/館長の山名さんとお話しさせていただくと「ひと昔前だったらこれだけの庭石を手にいられるはずがなかった」ということを何度も仰られる。バブル崩壊後、各地で大規模なランドスケープ(ゴルフ場等)の開発がなくなり、また既存の庭園の解体によって庭石の価値も大きく下がり。半ば行き場を失った銘石たちがリサイクルされ生まれた場。(土地も耕作放棄地で、庭園のアイキャッチの一つ“仙石富士”も庭園の為に作ったのではなく元からあった山だったのだとか)

専門家に言わせれば粗がある庭園かもしれないけれど、この庭園の価値はテクニック的な尺度で測ることは腑に落ちない。果たして、現代の他の日本人でここまで大規模な日本庭園を作庭する人物が居るだろうか。京都や東京の一等地に坪単価の差で「高い」庭園を造営される施主は居るかもしれないけれど、面積として『日本国内の民間/個人でここまで大規模な日本庭園が出来ることは最後かもしれない』とさえ思う。(現れるかもしれないけど)
自らの資金を庭園にここまで投じることはもちろん、日本庭園の為に日本の民間から資金を引っ張って来られるプロジェクトマネージャーさえ果たして現れるかどうか。

日本国内にも庭園の数は多いけれど、自ら“場”を背負っておられる方の数は決して多くない。で、不思議と中国山陰地方に“自主運営&作庭”の庭園が多いのは面白いこと。そのおのおのが、地域の方々に“日本庭園”の魅力を伝えて、地域の子供の原風景になり、刺激を受け合って次世代に残されれば…と願います!

(2019年11月、2023年4月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)

アクセス・住所 / Locations

JR山陽本線 西高屋駅より約3km(徒歩40分)
西条駅・西高屋駅より路線バス『高美が丘七丁目』バス停下車 徒歩12分

〒739-2111 広島県東広島市高屋町高屋堀1500 MAP

投稿者プロフィール

イトウマサトシ
イトウマサトシ
Instagram約9万フォロワーの日本庭園メディア『おにわさん』中の人。これまで足を運んで紹介した庭園の数は1,900以上。執筆・お仕事のご依頼も受け付けています!ご連絡はSNSのDMよりお願いいたします。
PICK UP / COLUMN
最新の庭園情報は約10万人がフォローする
【おにわさん】のSNSから。