
近代数寄屋建築家・吉田五十八の手掛けたホテル建築。屋内の曲水の庭から、荒木芳邦作庭の手掛けた庭園へ。
リーガロイヤルホテル大阪庭園について
「リーガロイヤルホテル大阪」(りーがろいやるほてるおおさか)は大阪・中之島にあるリーガロイヤルホテルチェーンの本店。“大阪ロイヤルホテル”の時代に建築されたタワーウイングの設計を吉田五十八が、中庭などの庭園の作庭を造園家・荒木芳邦さんが手掛けています。
創業から80年を過ぎた“大阪の迎賓館”たる高級ホテルーーなんつって、ホテルにはそんな興味がないのですが…吉田五十八建築のこちらは前から泊まりたいなーと思っていた。
そして泊まるなら安い今しかない!と思い初めて行きました(今思えばGoToキャンペーンまで待てばよかった…)。が、今回紹介する庭園部に関してはカフェ・ラウンジのみの利用で鑑賞可能です。
吉田五十八が新館(タワーウイング)を手掛けたのは1973年(昭和48年)。2019年に当初の照明(金目地の格子柄の意匠・瑞雲)やカラフルな紅葉模様が特徴的な大緞通「万葉の錦」をリデザインする形で再現されました。
メインラウンジの外には大きな滝が2つ落ちる日本庭園、そしてその池泉庭園から曲水が室内へと連なっている独特な庭園の作庭は、大阪を拠点としていた昭和の造園家・荒木芳邦さんによるもの。
『成城五丁目猪股庭園』や『東山旧岸邸』で「吉田五十八の建築は部屋と庭園のシームレスな関係性が最高」みたいなことを書いているんですが、ここはもう庭園が建物の中に入り込んできちゃっているっていう。「外に良い庭園がある」だけじゃ満足できない、更にその先の発想。
荒木芳邦さんは国内のみならず海外でも多くの庭園を手掛けられており、重森三玲の『東福寺方丈庭園“八相の庭”』にも携わっています。この庭園で見せている豪快な滝、斜面を活かしているーーかのように見えて、この裏は駐車場〜土佐堀川なんですよね。都市を忘れさせてくれる自然溢れる庭園。
また中之島駅の開業に伴って整備された前庭は2008年に氏の創業した荒木造園設計によるもの。あとダイニング“リモネ”の方にも荒木芳邦さん作庭の庭園があるのですが、今回は見ていないのでまた次回…。
(2020年7月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)