万博記念公園 日本庭園

Expo'70 Park (Banpaku Kinen Park) Japanese Garden, Suita, Osaka

岡本太郎“太陽の塔”が借景。1970年の大阪万博で作庭された、昭和の日本の造園家が集結した日本国内随一の大規模な日本庭園。2024年、国の登録記念物(名勝)に。

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日本万国博覧会記念公園日本庭園について

「万博記念公園」(ばんぱくきねんこうえん)は1970年の日本万国博覧会(大阪万博)の会場跡地を整備し開かれた公園。そのシンボル、岡本太郎の作品『太陽の塔』が有名で2020年に国登録有形文化財に選定。建築家・丹下健三による「大屋根」、世界的彫刻家:イサム・ノグチによる噴水群も。

公園の北部に位置する「日本庭園」は大阪万博の日本政府出展施設として作庭されたもので、その造営には当時の日本を代表する造園家が集結。現在、日本を代表する日本庭園として名高い『足立美術館庭園』を手掛けた中根金作小島佐一(小島庭園工務所)や、当時の関西を代表する作庭家・荒木芳邦など。彼らを指揮したのが日本公園緑地協会北村賞や日本造園学会賞を複数回受賞している造園家・田治六郎。そんな昭和の日本を象徴する日本庭園は2024年には国登録記念物(名勝地関係)に選定され、今後は国指定文化財(国指定名勝)も目指しているとか。

とにかく広い、万博記念公園の日本庭園。東西の距離が約1.3km(端から端まで歩いて15~20分)、総面積は東京ドーム5個がすっぽりと入る26万平方メートル。樹木の種類は123種類で110,000本以上!
江戸時代の大名庭園に多い様式“築山泉水式庭園”(近世地区)を中心として、西部に奈良~平安時代の形式を取り入れた“寝殿造庭園”(上代地区)、室町時代から流行し始めた“枯山水庭園”(中世地区)、そして東部に“現代地区”と“日本庭園の博物館”のように各時代の日本庭園の様式を取り入れた庭園が連なっています。

■近世庭園地区(4~12枚目)
日本庭園正門を入ってすぐ、大きな中央休憩所の前に広がるのが“近世庭園地区”。江戸時代に流行した大名庭園のスタイルを再現したもの。

心の字を描いた“心字池”の周辺を歩きながら景色の移り変わりを楽しむ“池泉回遊式庭園”で、休憩所の対面にある築山に登ると庭園越しに「太陽の塔」が借景になります。また途中の園路には春に花の見頃を迎える「つつじヶ丘」も。

■中世庭園地区(13〜26枚目)
近世地区の西側にあるのが“中世庭園地区”。鎌倉時代〜室町時代の日本庭園をモチーフとした、主に2つの庭園があります。

まず一つが『千里庵の枯山水』。寺院の方丈をモチーフにした茶室『千里庵』の前に広がる枯山水。現在では京都の庭園の代名詞の一つの水を使わない「枯山水」も鎌倉時代に“禅”の文化が入り込んだ後、室町時代から広がっていったスタイル。

千里庵の枯山水の麓に広がる『松の洲浜』は室町時代の後半、安土桃山時代に有力武家の間で取り入れられた広い枯山水をモチーフにしながら、“上代庭園地区”“近世庭園地区”へのつなぎ役にもなっている庭園。

また『千里庵の枯山水』の向かいには京都の数寄屋建築の名工・中村外二工務店が手掛けた茶室『汎庵』『万里庵』とその露地庭園もあります(通常非公開で秋の紅葉期に特別公開があります)。別途紹介。

■上代庭園地区(27〜29枚目)
日本庭園内の最も西のエリアが奈良時代〜平安時代の庭園様式をモチーフとした“上代庭園地区”。冒頭の“近世庭園”と同じ池泉を主体とした庭園ですが、近世庭園と違って地形そのものの傾斜や抑揚はなく、『平城京』など皇族・貴族の庭園に取り入れられた“洲浜”が周囲に敷かれているのが特徴的な「寝殿造り庭園」。

またこの庭園の周囲には森や山の景が表現され、“深山の泉”と名付けられています。また池の奥に位置する“木漏れ日の滝”が『足立美術館庭園』の中根金作によるもの。

そして公園東口に最も近いのが「現代地区」。夏期に見頃を迎える蓮池や、田治六郎が設計した現代的な日本庭園“旋律の鯉池”があります。

日本庭園だけでも広大ですが、更に広大な万博記念公園内には“日本庭園的なるポイント”は他にもたくさん。“水車茶屋”“もみじ川”“紅葉溪”や、紅葉溪の付近には環状列石のような石庭も。その一部は名古屋の日本庭園『白鳥庭園』を設計した吉村元男さんらが担当。

何度か訪れている庭園ですが、2022年12月の秋の写真を追加いたしました。広大な庭園は季節によって見頃が異なります。今後また季節を変えて訪れたい!

(2017年1月、2020年10月、2022年12月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)

アクセス・住所 / Locations

大阪モノレール 公園東口駅より徒歩10分
大阪モノレール 万博記念公園駅より園内を通って徒歩15分
JR茨木駅・阪急 茨木市駅より路線バス「日本庭園前」バス停下車 徒歩10分強

〒565-0826 大阪府吹田市千里万博公園9 MAP

投稿者プロフィール

イトウマサトシ
イトウマサトシ
Instagram約9万フォロワーの日本庭園メディア『おにわさん』中の人。これまで足を運んで紹介した庭園の数は2,000以上。執筆・お仕事のご依頼も受け付けています!ご連絡はSNSのDMよりお願いいたします。
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