もりぐち歴史館(旧中西家住宅)

Moriguchi History Museum Garden, Moriguchi, Osaka

家康の後妻“お亀の方”に縁あり尾張徳川家に仕えた土豪の、大阪に唯一残る江戸時代の武家屋敷。守口市指定文化財。

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もりぐち歴史館(旧中西家住宅)について

もりぐち歴史館こと「旧中西家住宅」(きゅうなかにしけじゅうたく)は“大阪に唯一残る武家屋敷”。江戸時代中期建立の主屋・大門は守口市指定有形文化財の第一号で、屋敷を取り囲んで日本庭園も残ります。

正確には“大阪府下で唯一残る在郷の武家屋敷”『万博記念公園』に行く前に寄れそうな、京阪~阪急界隈の庭園がありそうな文化施設を探していて見つけた。公式サイトの統計データを見る限り、ここ10年ぐらいの年間入場者数は2,000~3,000人程度(うち半分が無料枠)なので知名度高くなさそうだけど…こんな武家屋敷と庭園があったのか!

戦国時代真っ只中、室町時代の1555年には土豪としてこの地に屋敷を構えていた中西家。桃山時代の頃の当主・中西孫右衛門要保の妻の妹…が徳川家康の後妻として、初代尾張藩主・徳川義直を生んだお亀の方
以前“お亀の方”を紹介した寺院としては京都の妙心寺塔頭『大雄院』があります。もう少し掘り下げると、中西要保の妻とお亀の方は八幡の国重文寺院『正法寺』の出身(京都府指定名勝の庭園もあります)。

その縁から江戸時代には中西家は尾張徳川家に仕え、尾張藩天満御屋敷奉行(大坂屋敷奉行)をつとめました。現在残る長屋門“大門”と主屋はそれぞれ1776年・1793年の建造。江戸時代のガイドブック『河内名所図会』にも描かれたそう。

平成年代に中西家からの寄贈と買収で守口市の所有となり、約2年間の保存・修復工事を経て2001年に開館。茶室など一部エリアは江戸時代の敷地図に基づいて再現されたものだったり(だから昭和年代には消失してた)、所々新しい(状態が良い)感じがするのはその修復によるものですが…庭園はほとんど元からあったもの、とのこと。

いわゆる城下町に残る武家屋敷と違って、名主・大庄屋・豪農屋敷のように大きな土間があるのが中西家の特徴。玄関に式台があるところからその格式の高さはわかるのですが…色んなお屋敷を見てきてるけど、めっちゃ高床なんですよね。

屋敷の各所に沓脱石があるけれど、1段では済まずに2段・3段となっているのがこの屋敷に特徴。そして決まって、横幅のある石ではなく、切り株みたいなサイズの石が使われている。なんでこんな高床にしたんだろう?地図で見ると淀川が近くにあるけど…近いと言っても直線距離で2kmはある。

庭園について。長屋門と主屋の間にある石庭はおそらく修復工事の時に作庭されたものだとして。主庭は「元々あったもの」だとしていつ頃のものなんだろうな。ある程度は来場者が歩きやすいよう改修されているだろうけど、大きくなってる樹もあるし庭石も古い感じはするけれど。

茶室の再現のソースになっている江戸時代の絵図では、“身仕舞部屋”前には築山と植栽の姿が描かれている。けど、座敷から眺める主庭(枯山水庭園)の…築山とか石橋とか植栽とかは描かれていないのでどれぐらい古いかは不明…。お手入れされた刈り込みの多い、独特の雰囲気を醸している庭園。

なお大阪には吹田市にも国の文化財である『旧中西家住宅』があります…が、「同じ中西家だけど無関係」だそう。真っ先に聞いたし、「よく聞かれる」とおっしゃられた(笑)エントランスに石庭がある所が似てるだけに。

(2020年10月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)

アクセス・住所 / Locations

京阪本線 大和田駅より徒歩17分
京阪本線 萱島駅より徒歩20分
古川橋駅より路線バス「大久保町一丁目」バス停下車 徒歩4分

〒570-0012 大阪府守口市大久保町4丁目2-26 MAP

投稿者プロフィール

イトウマサトシ
イトウマサトシ
Instagram約9万フォロワーの日本庭園メディア『おにわさん』中の人。これまで足を運んで紹介した庭園の数は2,000以上。執筆・お仕事のご依頼も受け付けています!ご連絡はSNSのDMよりお願いいたします。
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