GULIGULI

グリグリ庭園

昭和の関西を代表する作庭家・荒木芳邦が率いた“荒木造園設計”が自社内にオープンし人気を博しているカフェ…“屋久島の緑”がテーマのお庭も◎。

庭園フォトギャラリーGarden Photo Gallery

GULIGULI/グリグリ庭園について

「GULIGULI」(グリグリ)は大阪府池田市のカフェ・レストラン&ギャラリーやコミュニティルーム(イベントスペース)を併設した複合施設。昭和の関西を代表する造園家のひとり・荒木芳邦の率いた「荒木造園設計」の社屋の一角に2015年に開かれ、店舗前には荒木造園設計自身で設計・作庭された庭園が広がります。
ずっと気になっていたカフェ。ようやく訪れることができました。(※2部制のランチは予約優先)

『万博記念公園 日本庭園』の作庭にも参画し、『リーガロイヤルホテル大阪』『西宮市大谷記念美術館』など関西で大型な日本庭園を数多く手掛けた荒木芳邦。氏が率いた「荒木造園設計」さんは氏の亡き後も関西を中心に各種造園工事を手掛けられています。

そして、そんな荒木造園設計の会社敷地内に2015年にオープンしたのが「グリグリ」。住宅街の中に突如現れる森のような一角の中にたたずむカフェ・レストランは、地元・池田市〜関西圏では緑の空間に癒される隠れ家的なカフェとして女性に大人気…!「おにわさん」では「荒木芳邦という造園家」を切り口にしたけれど、「造園会社が母体のカフェ」と認識して訪れる方はきっとごく一部。

そんなグリグリの魅力を創出しているのはもちろん「お庭」。しかしながら、荒木芳邦さんの残した日本庭園の様なお庭とはまた雰囲気が異なり、テーマは「屋久島の緑」。『庭NIWA』vol.221(2015年冬号)によると、荒木芳邦さんはその作風とは別に屋久島の自然に惚れ込み、屋久島の樹種を本州へ運搬しては庭園に入れていたとか。(最後を迎えたのも屋久島だとか…?)

時間を経て、その先代の遺志を継いで作庭されたのがこのお庭。室内から見られる苔の斜面〜枯滝石組〜枯池による枯山水庭園は、ハイゴケと屋久島産の自然石と、地元関西の御影石・生野石などを用いて構成。庭園全体でも屋久島ならではの樹種や苔が用いられているそう。

「造園会社が運営するカフェ」、近年は少しずつ増えている気もするし、それはとても良いことだと思っていて――「お庭」や「造園」との接点は多くあった方が良いし、「お庭」に興味が無い方も訪れられる店舗・スペースであることによって「地域の交流地点」にもなる。グリグリには正にそんな狙いも込められているそうで、人気なのはカフェですが、ギャラリーでの展覧会やワークショップ、マルシェ等のイベントも随時開催されています。

…「造園会社が運営するカフェ、少しずつ増えている気もする」とは言ったものの、その中でも元々名の知れた日本庭園の造園家にゆかりある…という意味ではユニークな存在。店舗自体は「造園会社」が押し出ている訳では全くない…けれど、本棚の選書がこんなに「お庭」「緑」に寄っているカフェは他には無いと思う。
お庭ファン以外にもプロの方にも訪れてみてほしいお店。ちなみに「グリグリ」は緑あふれる空間をイメージした“グリーングリーン”を略したものなのだそう。

また近隣の寺院『尊鉢厄神』にも荒木芳邦作庭(らしい)庭園があります(後日紹介)。合わせて訪れてみて。

(2024年10月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)

アクセス・住所 / Locations

阪急宝塚線 石橋阪大前駅より徒歩15分
石橋阪大前駅・池田駅より路線バス「尊鉢」「水月公園前」バス停下車 徒歩5分

〒563-0024 大阪府池田市鉢塚2丁目10-11 MAP

投稿者プロフィール

イトウマサトシ
イトウマサトシ
Instagram約9万フォロワーの日本庭園メディア『おにわさん』中の人。これまで足を運んで紹介した庭園の数は2,000以上。執筆・お仕事のご依頼も受け付けています!ご連絡はSNSのDMよりお願いいたします。
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