西宮市大谷記念美術館Otani Memorial Art Museum Garden, Nishinomiya, Hyogo

実業家・大谷竹次郎の邸宅地に開かれた美術館の日本庭園は、昭和の関西を代表する造園家・荒木芳邦の作庭。

庭園ギャラリーGarden Photo Gallery

西宮市大谷記念美術館について

「西宮市大谷記念美術館」(にしのみやしおおたにきねんびじゅつかん)は昭和の実業家・大谷竹次郎が収集した近代絵画のコレクションと邸宅の寄贈を受けて、1972年に開館した美術館。現在の美術館本館は平成年代に増改築され1991年にオープンしたもので、ロビーから正面に眺める池泉回遊式庭園は昭和の関西を代表する造園家・荒木芳邦(荒木造園設計)の作庭。

昨年初めて訪れた『白鶴美術館』とかの中でも書いてるのですが、近代〜昭和にかけて経済的に大発展した大阪〜神戸間の邸宅・建築“”の庭園が個人的にすごく気になっているテーマ。で、前から行きたいなあ…と思っていたのがこの美術館でした(昨年も一度ここも見たくて西宮まで来たんだけど、その時は時間配分をミスって行けず…)。

現在東証2部上場企業であるSECカーボン株式会社の前身・昭和電極を昭和初期に創業した大谷竹次郎。東京の『ホテルニューオータニ』の設立者・大谷米太郎の弟であり、荒木芳邦はニューオータニ日本庭園の作庭者・岩城亘太郎の下で修行しているのでその辺の繋がりなんかも見えてくる。(*なおニューオータニの完成時には荒木はもう独立済)

美術館内は現代的な雰囲気ですが、和室“緑爽庵”まわりの枯山水庭園や園路、流れにふんだんに使われている赤石や奇石などの庭石は大谷竹次郎が収集したものも多いそうで、近代〜昭和の豪邸の趣が感じられます。一方で、庭園全体では四季が感じられる様々な植栽によって優しい雰囲気が演出されているのがこの庭園の魅力。

荒木芳邦さんの作品では『リーガロイヤルホテル庭園』以来の鑑賞になったのですが、全く違う雰囲気だったけどめちゃくちゃ素敵な庭園だった…ずっと眺めていたくなるキラキラした水の流れ。(空の色ではなく丸石を敷き詰めた上で)こんな水色に見える池泉もあまり見た記憶がない。金沢21世紀美術館の“Swimming Pool”みたいだな〜。
あと園内には現代彫刻作品が点在していて、岡本太郎『午後の日』の姿も!(個人的にミニチュアを持ってる作品…!)

さて。美術館としては上村松園、梅原龍三郎といった近代絵画を中心に1,100点以上の作品を所蔵しているそうですが、今回見た企画展が『没後20年 今竹七郎展 〜近代日本デザインのパイオニア〜』。これがまためちゃくちゃ面白くて!
輪ゴームの“オーバンド”、メンソレータム、南海ホークスなどのロゴを手掛けられた方なのですが、戦前の大丸・高島屋のデザイナー時代の作品や初期の『アイデア』の表紙等々を見てて…なんか2010年代後半に好まれた自然体のフォントやデザインは、近代のデザインへの回帰だったのか——みたいなことを思わされた。庭園目当てだったけど大当たりの展覧会。推せる。兵庫県美の“つづく”展のついででも。

(2020年10月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)

アクセス・住所 / Locations

阪神本線 香櫨園駅より徒歩6分
JR神戸線 さくら夙川駅より徒歩15分
阪急神戸線 夙川駅より徒歩20分

〒662-0952 兵庫県西宮市中浜町4-38 MAP

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