月桂冠新家(大倉家旧宅)庭園

Gekkeikan Shinya / Former Okura Residence Garden, Kyoto

“月桂冠”創業家の旧邸がKG+ 2026 安藤政信『憂鬱な楽園』展で特別公開…庭園は近代京都の有名庭師・小川治兵衛の八代目、小川白楊作庭。【通常非公開】

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月桂冠新家(大倉家旧宅)庭園について

【通常非公開/KG+ 2026で企画展開催】
「月桂冠新家(大倉家旧宅)」(げっけいかんしんや・おおくらけきゅうたく)は京都市伏見区にある酒造メーカー「月桂冠」の創業家・大倉家の旧宅で『月桂冠大倉記念館』に隣接。その庭園は近代の京都/日本を代表する庭師・七代目小川治兵衛(植治)の長男・小川白楊(八代目小川治兵衛)の作庭。
通常非公開ですが、京都の春の風物詩『KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭』の関連企画『KG+』のスペシャルエキシビジョン、俳優/写真家・安藤政信さんによる写真展『憂鬱な楽園』の舞台として期間限定で公開されています(〜5月17日(日)まで)。

…建築やお庭目線では、2026年のKYOTOGRAPHIEで最もスペシャルな展示会場はここではないでしょうか…!

近世以降、日本の歴史においてもたびたび重要な舞台として登場する京都・伏見。豊臣秀吉が築城した『伏見城』の城下町として発展、現在では日本の代表的な酒どころの一つとして知られます。

最寄りの京阪・中書島駅から徒歩5分、「十石舟」も通行する運河(濠川)沿いにある巨大な酒蔵が有名酒造メーカー「月桂冠」発祥の地。その歴史は大変古く、創業は約400年前まで遡って1637年(寛永14年)。通りにずらりと並ぶ町家建築〜酒蔵は明治時代後期の建築で、現在は『月桂冠大倉記念館』として活用、史料や酒づくりに関する様々な展示が見られます。

その記念館の北側に位置するのが、2026年のKG+で特別な展示の舞台となる「月桂冠新家(大倉家旧宅)」(なお受付は記念館の方です)。門をくぐると、和の重厚な門と洋館が並ぶ近代の京都のお屋敷らしいファサードが現れる…!

月桂冠の創業家・大倉家の十二代目当主・大倉治一の自邸として大正時代末期〜昭和時代初期にかけて建てられたもので、昭和の時代には迎賓館としても用いられていたそう。現在は月桂冠が所有し、これまでは非公開でしたが、このKG+での展示が大変貴重な一般向けの公開…(なお実は昨秋にもソナポケことソナーポケットのメンバー:eyeronさんによる個展が開催され、今回が二度目の一般向け公開)。

受付を済ませ玄関を上ると、早速安藤さんによる写真作品が視界に入ってきます。幻想的な風景から人物のポートレートまで——それにしても、なぜこの様な特別な空間で…?実は、京都にも数多く滞在し、その中で様々な寺社や庭園を巡った安藤さんが「素敵なお庭のある空間」としてこの場が選ばれたのだとか。

この邸宅のお庭を手がけたのは八代目小川治兵衛、小川白楊。近代の京都を代表する庭師・七代目小川治兵衛(植治)の長男であり、父とともに滋賀・長浜の『慶雲館庭園』(国指定名勝/植治の代表作の一つ)等を手掛けた作庭家として知られます。京都市内で言うと『ウェスティン都ホテル京都 佳水園』が小川白楊の庭。父親よりも早く亡くなってしまった八代目の作庭…と言うことで大変貴重な庭園…!(尚、2025年には十三代目小川治兵衛:小川智啓さんにより“再作庭”され現在の姿に)

座敷の前に、開放的にパノラマに広がる緑のお庭、その中心部には亀石を思わせる巨石と大きな井戸、そしてその先には大きな京都の銘石“貴船石”。池泉や流れ、山の中にいるような植栽など“水”や“自然”の印象の強い七代目のお庭と比べて、(佳水園や白楊がメインだったと言われる慶雲館を思い返すと)小川白楊のスタイルは枯池/枯山水で、自然石・巨石の魅力を常緑樹主体で引き立てる…。(それにしても、お座敷と庭園の関係性——建築の大工棟梁も『慶雲館』と近しい方だったりする…?)

お庭としては他にも前庭/坪庭/敷地西側に位置する茶室への露地庭があります(今回非公開の茶室前のお庭には、伏見にちなんで?ひょうたん型の築山?があるのが気になる…)。アプローチの鞍馬石を敷き詰めた延段(石畳)も素晴らしいし、マツが中央に植ったシンプルな坪庭も素敵。繰り返しになりますが、「八代目」が主体に明示される庭園はとても貴重。だからこそ、このお庭を見て、「七代目のお庭のあの部分は白楊さんがやったのかな?」等々の想像が膨らみます。

ちなみに、この「新家」の北側に位置する商家建築が江戸時代末期に建築された『大倉家本宅』で、この記念館周りの建築群の中では最も古いものとなっています。今回のKG+での特別な展示、お見逃しなく!

(2026年4月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)

アクセス・住所 / Locations

京阪本線 中書島駅より徒歩5分
近鉄京都線 桃山御陵前駅より徒歩10分
JR奈良線 桃山駅より徒歩15分

〒612-8660 京都府京都市伏見区南浜町247 MAP

投稿者プロフィール

イトウマサトシ
イトウマサトシ
Instagram約9万フォロワーの日本庭園メディア『おにわさん』中の人。これまで足を運んで紹介した庭園の数は2,000以上。執筆・お仕事のご依頼も受け付けています!ご連絡はSNSのDMよりお願いいたします。
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