沢田マンションを見に行く建築ファンはこちらも!織田信雄の家臣が出自の土佐藩の豪農屋敷。国指定重要文化財。
旧関川家住宅について
「旧関川家住宅」(きゅうせきかわけじゅうたく)は高知駅から約4kmの郊外に残る国指定重要文化財の古民家。江戸時代後期に建てられた主屋・表門をはじめ、明治~大正期に建てられた米倉・道具倉の4棟が国重文で、現在は「高知市旧関川家住宅民家資料館」として一般公開されています。
2021年年始に高知を訪れた足で初めて鑑賞しました。高知市の庭園は国指定名勝の『竹林寺庭園』以外の印象って殆どなかったけど、明治維新でも勝利した側の城下町、庭園がもっとあっていいはず…シリーズ。
この関川家は織田信長の次男・織田信雄の家臣という出自。やがて土佐国に移住し長宗我部氏に仕え、江戸時代に土佐藩主として山内氏が入った後は当地の“郷士”という格を与えられました。
実質的には帰農して庄屋になったような形で、先に紹介した『大川筋武家屋敷資料館』の手嶋家は上士。坂本龍馬や武市半平太も郷士の出。そこには身分の差と差別があったとかなかったとか。
この茅葺屋根のお屋敷はそんな郷士の過ごした代表的な豪農屋敷(の一部)で、1819年(文政2年)“野田村大工弥左衛門作”の墨書きが残されています。郊外と言ってもすぐ近くに高速の高知ICがあり、敷地のすぐ西を県道が通っていて現在では立派な住宅街。関川家の現在の敷地はだいぶ縮小された姿かと思うので、“豪農屋敷”と言っても新潟とかのと比べるとこじんまりではあるのですが…。
式台(玄関)からは書院造りの座敷へと繋がっている一方で、生活の場である居間には囲炉裏がある農家の佇まい。
庭園も座敷に面する形でもうけられていて、敷地南西部に小さな築山をもうけ、向かって右手には舟石のような自然石のつくばいが配されている。小さな庭園だけれど大川筋の武家屋敷の庭とは全く印象が異なるし(こちらの方が客に見せる為の庭)、一方で玄関すぐ右の南向きに眺める庭…というのは『岩崎弥太郎生家』が共通してたりする。
また建物内にあった資料のうち、古絵図のコピー見ると建物がせり出した池泉庭園のようなものが描かれているものがある。建物の構造がこの関川家と異なると思うので、本家の絵図なんだろうか…。
関川家の近隣には、建築ファンには有名な?『沢田マンション』があります。あわせて重要文化財の古民家にも立ち寄ってみて!
(2021年1月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)
アクセス・住所 / Locations
JR土讃線 土佐一宮駅より徒歩15分
高知駅より路線バス「一宮神社前」バス停下車 徒歩5分
高知駅より約4km(駅前にレンタサイクルあり)
〒781-8134 高知県高知市一宮中町3丁目11-59 MAP