文化のみち 二葉館(名古屋市旧川上貞奴邸)

Cultural Path Futaba Museum, Nagoya, Aichi

“日本初の女優”川上貞奴と福沢諭吉の娘婿“電力王”福澤桃介が暮らした大正時代の近代建築。当時のお庭の植栽を模した芝庭と枯山水も。国登録有形文化財。

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文化のみち 二葉館(名古屋市旧川上貞奴邸)について

「文化のみち二葉館 名古屋市旧川上貞奴邸」(ぶんかのみちふたばかん・なごやしきゅうかわかみさだやっこてい)は“日本初の女優”と言われる川上貞奴と“電力王”と呼ばれた実業家・福澤桃介が暮らした邸宅。大正時代に建てられた近代建築で、『旧川上貞奴邸』として主屋・蔵が国登録有形文化財。

名古屋のシンボル『名古屋城』の東に位置するお屋敷街「文化のみち」について。かつて江戸時代には中級武士による武家屋敷街が広がり、明治維新後にはその町割りを残しながら近代産業の起業家や陶磁器の販売/輸出を営む陶磁器商が集い・住む町へと変化/成長を遂げました。

幸運にも戦災被害を逃れたこの一帯は現在の名古屋市の町並み保存地区『白壁・主税・橦木町並み保存地区』に指定。武家屋敷時代の面影を残す塀から近代のレトロ建築が数多く残り、あわせて『徳川園』(徳川美術館)に至るまでの約3kmの道が市民により「文化のみち」と呼ばれるようになりました。

町並み保存地区の中で中で広く一般公開されている施設の一つが「二葉館」。NHK朝ドラのモデルにもなった女優・川上貞奴と、その恋人だった実業家・福澤桃介(福沢諭吉の娘婿)が暮らすために建てられ、かつて『二葉御殿』と呼ばれたお屋敷の一部。
元は現在地から500m離れた場所にありましたが、一部のみ残されていた建物を名古屋市が寄贈されたのを機に、2004年~2005年に掛けて移築・復元、2005年(平成17年)に現在地で一般向けへの公開がはじまりました。

川上貞奴には俳優としても共にした“オッペケペー節”川上音二郎が、福澤桃介には正妻に福沢諭吉の次女・ふさ(房)と配偶者が居ましたが、実は二人は10代の頃に出会っていたとか…。

実業家として成功を果たした福澤が川上貞奴の好みを取り入れ、大正時代半ばに建てられたのがこの邸宅。幾つもの形状の屋根を取り入れた洋風の外観、そして大きなステンドグラスと緩やかならせん階段のある、ザ・大正ロマンな大広間――設計を担当したのは当時の新進気鋭の住宅専門会社「あめりか屋」

1階、2階にそれぞれ和室も備える和洋折衷な近代建築は、政財界の人物や文化人を迎える迎賓館として/また女優引退後後は経営者となった川上貞奴の仕事場の一つにもなりました。現在屋内では「文化のみち」や川上貞奴・福澤桃介に関する展示が見られます。

お庭は2箇所。中庭の枯山水庭園と洋館の周囲には芝生のお庭があります。かつての「二葉御殿」にも桜やマツ、もみの木の植わった芝庭があり、当時の広さではないものの当時に合わせた植栽の芝庭が再現されています。また中庭も一見新しいけれど、飛び石や石灯籠は歴史を感じさせるので庭石も元の邸宅から移されたもの…かな?建築と合わせてチェックしてみて。

(2022年7月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)

アクセス・住所 / Locations

名古屋市営地下鉄・桜通線 高岳駅より徒歩10分
名鉄瀬戸線 尼ヶ坂駅より徒歩10分強
JR名古屋駅より路線バス「飯田町」バス停下車 徒歩2分

〒461-0014 愛知県東区橦木町3丁目23 MAP

投稿者プロフィール

イトウマサトシ
イトウマサトシ
Instagram約9万フォロワーの日本庭園メディア『おにわさん』中の人。これまで足を運んで紹介した庭園の数は2,000以上。執筆・お仕事のご依頼も受け付けています!ご連絡はSNSのDMよりお願いいたします。
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