吉川元春館跡庭園

Kikkawa Motoharu Yakata ruins Garden, Kitahiroshima, Hiroshima

戦国大名・毛利氏の重臣として有名な武将・吉川元春が自らの隠居所として築いた館跡から発掘された、450年前の庭園。国指定名勝。

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吉川元春館跡庭園について

「吉川元春館跡」(きっかわもとはるやかたあと)は戦国大名・毛利元就の重臣としても有名な戦国武将・吉川元春が晩年に築き暮らした居館の跡。その庭園『吉川元春館跡庭園』が国指定文化財()。「吉川元春館跡歴史公園」として広く公開され自由に見学できます。
また隣接する『戦国の庭 歴史館』では吉川氏やこの庭園をはじめとする北広島町の吉川氏の史跡に関する資料が展示されています。

時々“文化財の庭園を優先的に見に行く”と書いていますが、広島県北広島町の2つの国指定名勝は公共交通機関で訪れるのが困難で行けてなかった(*一応少ないながら地域のコミュニティバスはある)。
で、ごく近年に北広島町の入口・千代田ICの観光案内所がレンタサイクルを開始。片道10km&多少の登り坂はあるけど時間に融通が効くこの方が都合が良い。これを利用して2022年7月に初めて訪れました。

元は毛利元就の次男で、吉川家に養子に入り家督を継いだ吉川元春。大内氏や尼子氏との中国地方の覇権争いの中でも主力として活躍、小早川隆景とともに“毛利の両川”と呼ばれたそう。

で、吉川氏は元々は駿河国の出。鎌倉時代に地頭としてこの北広島の地に入ると土着し、この一帯に築かれた山城・小倉山、日山城の城跡も吉川元春館跡とともに「吉川氏城館跡」としてとなっています。

羽柴秀吉との「備中高松城の戦い」の後に家督を吉川元長に譲った吉川元春。この「吉川元春館跡」はその後を過ごす隠居所として1583年(天正11年)より造営が始まったもの。残念ながら元春はその完成を見ずに翌年死去。その直後に吉川元長も病死し、その後を継いだ吉川広家の代に館は完成。

…しかしそんな広家も完成から数年後の1591年には拠点を山陰・月山富田城に移しこの館跡の役目は終了。その後は地名にもなっている吉川元春の菩提寺『海応寺』の寺地になりますが、そこから江戸時代〜近代と約400年間かけて田畑や森に埋もれていきました。

しかしながら昭和の後半〜平成年代にかけて発掘調査が行われ、建築や庭園の遺構をはじめ多くの遺物が出土。現在見られる建築物(台所・附属屋)や庭園は割と近年の2006年(平成18年)までに復元されたもので、『戦国の庭 歴史館』は2007年に開館。

まず唯一埋もれていなかった長さ80m・高さ3mの石垣のド迫力!館の一角に石切場の遺構があるのもこの館ならでは。

国指定名勝の庭園は門から見て右手奥に残ります。背後の里山を借景とした庭園。小さな築山の中に組まれた三段に落ちる構造の滝石組と三尊石、そして直線的な護岸が特徴的。向かってすぐ右手側には異なる造形の石庭も。
規模としては同じく戦国武将の庭園『一乗谷朝倉氏遺跡・朝倉義景館跡庭園』と同じぐらいで広く・大きくはないけれど、有名な戦国武将の貴重な庭園。

館跡の奥の森林の中には吉川元春の菩提寺だった「海応寺」の跡と吉川元春・元長の墓所があります。寺院は跡形も無いけれど、墓所は今も立派な塀に囲まれている。…しかしこの公園一帯にもイノシシに掘られた跡が結構あって(史跡内は一応電気柵で対策はされてる)、林の中に足を踏み入れるのはちょっと緊張感あった…。

館跡の周辺には2つ、史跡公園として新たに整備された池泉庭園があるのだけれど…それらが獣にとって良い水場になっている感がありけっこう荒れていて。新しく庭園を作ったとしても少子高齢過疎が進む地域での維持の難しさをとても感じた。
『戦国の庭 歴史館』の入館者数を見る限りこの名勝庭園も見学者はかなり少なそうだけど…戦国時代の息吹をぜひ味わって。

(2022年7月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)

アクセス・住所 / Locations

中国自動車道 千代田ICより約10km *道の駅にレンタサイクルあり
中国自動車道 千代田ICよりホープバス豊平千代田線/総企バス千代田芸北・金城線「海応寺」バス停下車 徒歩2分(平日・土曜のみ。本数も少ないので下調べを。)

〒731-1703 広島県山県郡北広島町海応寺255-1 MAP

投稿者プロフィール

イトウマサトシ
イトウマサトシ
Instagram約9万フォロワーの日本庭園メディア『おにわさん』中の人。これまで足を運んで紹介した庭園の数は1,900以上。執筆・お仕事のご依頼も受け付けています!ご連絡はSNSのDMよりお願いいたします。
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