一乗谷朝倉氏遺跡 義景館跡庭園

Ichijodani Asakura Clans Ruins - Yoshikage-Yakata's Garden, Fukui

約400年間土に埋もれ――室町時代から現代にタイムスリップした、戦国大名・朝倉義景の館とその庭園。国の特別史跡・特別名勝。

庭園フォトギャラリーGarden Photo Gallery

一乗谷朝倉氏遺跡・義景館跡庭園について

「一乗谷朝倉氏庭園」(いちじょうだにあさくらしていえん)は国の特別名勝に選ばれている、戦国大名・朝倉氏の館跡に残る庭園群。また一帯は「一乗谷朝倉氏遺跡」として国の特別史跡でもあり、吉永小百合さんが出演したSoftBankのCMロケ地になったことでも知られます。
2011年に初めて訪問した時は名勝庭園を巡り始めたばかりの頃…前日に初めて『兼六園』へ足を運んでいた中だったので――同じ特別名勝の庭園でも、周囲に建造物もなく誰もおらず自由に見学できるこの庭園はだいぶ落差を感じた(笑)今回8年ぶりに訪問しました!(なお初めて訪れた時閑散としてたのは雨だったため。今回は他にも見学されている方が多くいらっしゃった)

戦国大名・朝倉氏の歴史を簡単に。元々は但馬国の豪族だった朝倉氏が越前国に入ったのは室町時代の中頃とされ、朝倉孝景によりこの地に山城「一乗谷城」を築いたのもその頃。
室町時代後期(戦国時代)には5代目当主・朝倉義景の元に後の室町幕府15代目将軍・足利義昭が落ち延びてきたことも。その後上洛した織田信長と対立することとなり、近江国・浅井長政と連合軍を組み対抗するものの最終的には織田信長に滅ぼされ、城下町として100年の時を過ごしたこの一乗谷の一帯も焼き払われてしまいました。

その後江戸時代以降の約400年間、この一乗谷の地は再開発されることなく現代を迎えました。中でも庭園は室町時代の石組が良好に保存されていた(埋もれていた)ことから、「朝倉館跡庭園」「湯殿跡庭園」「諏訪館跡庭園」「南陽寺跡庭園」が国の特別名勝に。
ここではこの遺跡の中心でもある、朝倉義景が暮らした「義景館跡」とその館跡に残る「義景館跡庭園」(よしかげやかたあとていえん)を紹介。

一乗谷城の麓、三方を土塁と濠で囲んだ朝倉義景の館「義景館跡」。特徴的な唐門の先が御殿跡で、広大な御殿を考えれば奥にある「義景館跡庭園」は比較的こじんまりとしたもの。義景を頼って京から越前へ訪れた足利義昭をもてなすために作庭された庭園とされ、池の底全体に平らな河原石を敷き詰められていることがこの池泉鑑賞式庭園の特徴。

朝倉氏庭園全般に言えることですが、力強い石組は雪舟の庭園をはじめとする室町時代の庭園の雰囲気を感じます。これが最初訪れた時はあまりよくわからなかったんだよなぁ(雪舟作庭の『旧亀石坊庭園』へ初めて訪れた時もそうだった…)。今となってはカッコいいの一言!
ちなみに朝倉氏遺跡で名勝指定を受けているのは前述の4箇所だけですが、発掘された庭園の数は15箇所にも登るとのこと…次回は名勝指定受けていない遺構もチェックしたい…!(他の名勝庭園も後日更新予定。)

(2011年3月、2019年3月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)

アクセス・住所 / Locations

JR越美北線 一乗谷駅より約2km(徒歩約30分・駅前の資料館にレンタサイクルあり)
JR福井駅より路線バス「武家屋敷前(復原町並)」バス停下車

〒910-2153 福井県福井市城戸ノ内町 MAP

投稿者プロフィール

イトウマサトシ
イトウマサトシ
Instagram約9万フォロワーの日本庭園メディア『おにわさん』中の人。これまで足を運んで紹介した庭園の数は1,900以上。執筆・お仕事のご依頼も受け付けています!ご連絡はSNSのDMよりお願いいたします。
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