国選定重要伝統的建造物群保存地区“丸亀市塩飽本島町笠島”の古い町並みで公開されている石が見どころの枯山水庭園。伊藤若冲、棟方志功らのアート作品も!
吉田邸について
【要事前連絡】
「吉田邸」(よしだてい)は国選定の重要伝統的建造物群保存地区「丸亀市塩飽本島町笠島」の古い街並みに残る歴史的建造物(古民家)。枯山水庭園や伊藤若冲、棟方志功など著名なアーティストの美術作品が見学できます。
『瀬戸内国際芸術祭』の会場の一つでもある、瀬戸内海に浮かぶ島「本島」。現在は本島と呼ばれますが、大小28の島々による「塩飽諸島」の代表的な島という意味の「本島」。
その歴史は古く、平安時代には藤原摂関家の荘園に、その後の中世〜戦国時代には瀬戸内海で活躍した「塩飽水軍」の本拠地に。江戸時代には天然の両港として水運/北前船の要衝として幕府の天領となり繁栄。技術的にも先行していた塩飽廻船は“御用船”扱いされ、本島の南部(港の近く)には国指定史跡『塩飽勤番所』も。
山城『笠島城』(香川県指定史跡)の城下町をルーツとして、江戸時代に整備され現在も非常に綺麗な形で残るのが重要伝統的建造物群保存地区・笠島地区の町並み。
この美しい町並みの形成に欠かせなかったのが“塩飽大工”。廻船業が全国に広まり塩飽廻船の需要減退に伴って、彼らが選んだ次の生き残る道は船大工としての技術を活かした“大工”。島から本州へ出て活躍し、やがて宮大工としてその名を馳せることになります。
その笠島地区を東西に結ぶ通り“マッチョ通り”の中心に建つのが「吉田邸」(事前電話連絡で見学可能/本島港にも看板があります)。当地の有力者の邸宅としておおよそ築100年(明治時代末期〜大正時代の建築)に建築された数寄屋風書院造りの近代和風建築で、大工の技術を垣間見ることができる様々な意匠(古い貨幣や刀の鍔をはめ込んだ欄間など)と洋風のインテリアがすごくいい!
そして主座敷から山側に三尊石のある枯山水庭園、正面奥に臥龍松を眺め見る庭園が見られます。こちらも「おそらく建築と一緒に作庭されたもの」とのこと(*白砂を入れたのはごく近年)。一幅の絵画のようなマツも勿論美しいけれど、この庭園は瀬戸内海の独特の“石”が良い!近い雰囲気の庭園を挙げるならば直島の『おおみやけ』の庭園。
なおこの笠島地区は日本遺産『石の島』の構成文化財にもなっていて、集落に張り巡らされた石畳や石段からその石文化を垣間見ることができるのですが、この庭園もその一つと言えます。
そして吉田邸のもう一つの魅力が…というより人によっては建築以上に見どころなのが美術品。伊藤若冲の『鶏図』が最も有名ですが、伝円山応挙、棟方志功からはじまり、丸亀藩の御用絵師などローカルな美術家(名前は知らなかったけど作品自体はすごく良い)まで幅広い古絵図を展示。
近年は笑福亭鶴瓶さんをはじめ現代の有名人も訪れた吉田邸。ぜひ香川県唯一の重伝建地区・笠島も訪れてみて。
(2023年4月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)