養老天命反転地

Yoro Tenmei Hantenchi (Site of Reversible Destiny), Yoro, Gifu

現代美術家・荒川修作+マドリン・ギンズが30年間の構想の末に実現し造園、平成年代に開園した日本を代表するランドアートの傑作の一つ。

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養老天命反転地/養老公園について

「養老天命反転地」(ようろうてんめいはんてんち)は現代美術家・荒川修作+マドリン・ギンズによるアート作品/建築プロジェクト。1995年(平成7年)開園。
イサム・ノグチ『モエレ沼公園』と並ぶ?次ぐ?日本を代表するランドアート。(*モエレ沼公園はあくまで“公園”で、この養老天命反転地は公園ではなく“公園内の巨大なアート作品”なので趣旨は異なるけど。)

京都の『龍安寺』の石庭を垂直に写した『奈義の龍安寺』も以前紹介した。最近若者に人気が出始めた?養老天命反転地にも2022年6月に約8年ぶりに訪れました!
同じ養老山脈沿いの岐阜の隠れた名庭園『行基寺庭園』への山登りの後の養老天命反転地…歩き終わった後はくたくた…。

奈良時代には聖武天皇“養老の滝”を訪れるなど、古くからとして知られた養老山。江戸時代にはとしても開発され、江戸時代に創業の『千歳楼』は建築が
『養老公園』自体の歴史も古く1880年(明治13年)に日本の最初期の公園の一つとして開園しました。大正時代には“日本の公園の父”と呼ばれた造園家・本多静六による改良も。

そんな養老公園の一角に開園したのが養老天明反転地。奈義の龍安寺や三鷹天命反転住宅など、人間の身体感覚・意識や知覚の可能性を試す/委ねる作品を追求した荒川+ギンズの集大成の一つで、その構想は30年以上にも及んだとか。

約18,000平方メートルの広大な園内。入場ゲートを入ってすぐのカラフルな建築“養老天命反転地記念館/養老天命反転地オフィス”を皮切りに、岐阜県の地図が描かれたメインパビリオン“極限で似るものの家”(屋根は岐阜県の形をしているそう)、そして巨大なすり鉢状の窪地に迷路や各パビリオンが配された“楕円形のフィールド”で構成されます。

楕円形のフィールド内にある9つのパビリオンは“極限で似るものの家”を分割したもので、“運動路”“白昼の混乱地帯”“もののあわれ変容器”“陥入膜の径”“地霊”“宿命の家”“想像のへそ”“切り閉じの間”と名付けられた建築や迷路が点在。

“楕円形のフィールド”のみならず園内全体で水平・平坦・直線は排除されていて、ほぼ常に“普段の人間の平衡感覚や五感”を狂わせる仕掛けが。
その環境下において自らの《肉体を再認知》させ、《感性を解き放つことで、「死」へと向かう人間の宿命を反転させようという試み》がこの養老天命反転地。急斜面など明らかに「ここは危ない」と感じさせる場所も各所にあるので、その感覚を研ぎ澄ませることも含めた空間。(なお歩きやすい靴やヘルメットの貸し出しもあります。)

ところで赤いモルタルの園路や、すり鉢の底で見られる赤+白の配色、どこか「重森三玲」っぽさを感じる…。いわゆる実施設計からはプロの造園家も関わっていると思うのだけど、一体どなた(なんて名前の会社)が関わったのだろう。荒川+ギンズの構想をどう実現に落とし込んでいったのか、その辺の話もいつか紹介できたらいいな…。
人間のバランス感覚を問うという点では茶庭/露地の空間のようでもあるし、「安全性<作品性」というのも“公園”よりも“庭園”的。言ったら日本庭園=ランドアートって話なんだけど。

園内各所からは養老山脈の山々の風景や濃尾平野の借景/風景も堪能できる。開園した頃のピカピカの公園の写真と比べると、土が剥き出しになっていたり園路でもあるコンクリ部分のひび割れなど老朽化を感じる点も。こう曲線を描きまくってるとメンテナンスも大変だし芝刈り/草刈りも命懸けだよな…。
維持し続けることも容易ではないけれど、末長く続き、日本のみならず世界のアートファン/ランドスケープファンに足を運んで欲しい!

(2014年1月、2022年6月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)

アクセス・住所 / Locations

養老鉄道 養老駅より徒歩10分
(*下記のルートはすごく遠回りしてるので、現地の案内に従って)

〒503-1267 岐阜県養老郡養老町高林1298-2 MAP

投稿者プロフィール

イトウマサトシ
イトウマサトシ
Instagram約9万フォロワーの日本庭園メディア『おにわさん』中の人。これまで足を運んで紹介した庭園の数は1,900以上。執筆・お仕事のご依頼も受け付けています!ご連絡はSNSのDMよりお願いいたします。
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