京都のモダン建築“栗原邸”の向かいにある石庭。曹洞宗開祖・道元禅師ゆかりの寺院にいのはな夢創園/猪鼻一帆作庭の枯山水庭園。
永興寺庭園について
「無量山 永興寺」(ようこくじ)は京都市の東部、地下鉄東西線・御陵駅の真北へ徒歩10分程の場所にある曹洞宗の禅寺。本堂前の枯山水庭園は京都・いのはな夢創園/猪鼻一帆さんにより手掛けられました。
2022年冬、初めて拝観。すぐ脇に東山トレイルへの登山口があります。
その歴史は鎌倉時代の1254年(建長6年)、曹洞宗開祖・道元禅師が入寂した翌年に弟子の詮慧和尚により東山山麓に建立された『永興庵』をルーツとします。その後は荒廃と再建を繰り返し、江戸時代中期の1748年(寛延元年)に左京区粟田口に、明治時代の1905年(明治38年)に左京区鹿ヶ谷に再興。
現在地へ移ったのは大正時代の1919年(大正8年)。曹洞宗の大本山永平寺が御陵のこの地を購入、鹿ヶ谷から移転し永平寺の別院として指定されました。
現在の伽藍が整えられたのも(お寺の歴史からすれば)ごく近年のことで、本堂は1996年(平成8年)、山門と鐘楼は2000年(平成12年)の建立。また本堂の建立とともに“日本三大稲荷”『豊川稲荷』の分社「山科豊川稲荷社」も再建(元々鹿ヶ谷でも祀られていたそう)。
本堂前の白砂と苔+石組による枯山水庭園。こちらを作庭されたのは現代京都の庭師・いのはな夢創園/猪鼻一帆さん。以前ご紹介したのが近代建築『kudan house』の庭園で今回は全く性質が異なりますが、真横から・表から裏から、どの角度で眺めてもかっこいい石庭。5石ある方は龍の頭にも見える。
で、「これはかっこいい!」というのがこの石庭だけではなく。参道の石積みや、山門横の2つの孤を描いたオブジェ。これは一体なんだろ?太鼓橋を抽象化して表現したもの?
これがいのはな夢創園による制作かはわかってないのですが、2019年に行われた日本庭園文化×音楽のイベント『Niwasora Party』で作庭/展示されたバイク×枯山水に通じる独創性を感じる造形。
永興寺から琵琶湖疎水を挟んですぐお向かいには京都のモダン建築として有名な『栗原邸(旧鶴巻邸)』があります。設計は本野精吾。この国登録有形文化財のモダニズム建築、2億円でずっと売りに出されているのでお金を持て余している方は…ぜひ…!
(2022年2月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)