毘沙門堂庭園“晩翠園”Bishamondo Temple Garden, Kyoto

“天台宗五門跡”に挙げられる山科を代表する寺院は参道の紅葉が有名。京都御所から移築された宸殿から鑑賞する庭園も。

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毘沙門堂庭園“晩翠園”について

「毘沙門堂」(びしゃもんどう)はJR京都駅のお隣・山科駅から真北に1km程の場所にある寺院。皇室ゆかりの門跡寺院で、『青蓮院門跡』『大原三千院』等と並び天台宗五門跡の一つ。“晩翠園”という庭園があります。
『随心院』と同じく実は訪れたことがなかった毘沙門堂。2021年秋に初めて拝観しました!

今日では山科を代表するお寺の毘沙門堂ですが、現在地に移ったのは江戸時代の初期。前身の『出雲寺』の歴史は古く、飛鳥時代の終わりの703年(大宝3年)に平安京が造営される以前の洛中に行基により創建されたと伝わります。『京都御所』の北方の出雲路の地名もそれに関連するとか。

平安京が遷都すると桓武天皇も出雲寺を参拝。その際に奉献された“伝教大師”最澄が自ら制作した毘沙門天が現在まで伝わる御本尊となっています。

しかし源平時代以降は平治の乱、応仁の乱、そして織田信長による兵乱…と度々焼失。その都度岩倉や大原の『来迎院』に仮移転を繰り返しつつ、後陽成天皇の勅命&江戸幕府四代目将軍・徳川家綱の援助の下で現在地に移転・再建されたのは1665年(寛文5年)のこと。

移転した際に再建された本堂をはじめ宸殿・勅使門・仁王門・唐門・鐘楼などが京都市指定有形文化財で、このうち勅使門・宸殿は後西天皇の皇子・公弁法親王が入寺した後に『京都御所』から拝領・移築されたもの。そのほか霊殿も御所からの移築。宸殿は狩野派・狩野益信(狩野洞雲)筆の障壁画も見所。

御所から移築された建造物と比べて、本堂・仁王門・唐門は朱色の彩色が鮮やか(神社みたい)。徳川将軍家が直接関わっていることから『日光東照宮』からの影響が見られるとか。

で、主庭園“晩翠園”の前に。本堂・霊殿の裏手にある“高台弁財天”の弁天池もモミジやドウダンツツジで紅葉が美しく、弁財天や本堂の朱色と相まって美しい庭園。この弁才天は『大坂城』から京都・東山『高台寺』へ、そしてこの地へと再度移された豊臣家ゆかりのお堂。

宸殿の裏手にあるのが庭園“晩翠園”。自然の水を引いて奥に滝を作り、手前を心字池とした池泉回遊式庭園(※拝観者が庭園を歩くのは不可)で、観音堂をアイキャッチに池の中には亀島に亀石、千鳥石が配されています。秋にはモミジやドウダンツツジの紅葉に彩られる庭園ですが、中の島近くのサルスベリの枝ぶりが存在感あるので夏に訪れてもいいかも。

作庭年代は宸殿が移築された江戸時代初期――というのが公式による紹介だけど、京都市都市緑化協会の紹介では現在見られる庭園は明治時代の廃仏毀釈の後に新たに作庭されたものと示されています。(こういうのはたぶん研究家の方が正しいのだけど、誰か著名な庭師が手掛けた…みたいな情報が無いと、“江戸時代の庭園”という情報を上書きし切れないのかとも思う)

毘沙門堂は庭園よりも?勅使門前の参道が秋には紅葉の名所として人気。今回はピーク前だったからさほど人も居なかったけど、来秋はピークの時に覗いてみたいなあ。

(2021年11月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)

アクセス・住所 / Locations

JR東海道本線 山科駅より徒歩15分
京都市営地下鉄東西線 山科駅・京阪京津線 京阪山科駅より徒歩17分

〒607-8003 京都府京都市山科区安朱稲荷山町18 MAP

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