浄住寺庭園

Jojuji Temple Garden, Kyoto

京都の隠れた紅葉の名所!円仁/叡尊/鉄牛らの名僧、伊達綱村/老中・稲葉正則ら大名と各時代の要人に愛された名刹の、春/秋に特別公開の京都市指定文化財庭園。

庭園フォトギャラリーGarden Photo Gallery

浄住寺庭園について

【庭園は通常非公開/春・秋に特別公開あり】
「葉室山 浄住寺」(じょうじゅうじ)は京都の洛西、世界遺産の“苔寺”こと『西芳寺』や“竹の寺”『地蔵院』からも程近くにある黄檗宗の寺院。京都の隠れた紅葉の名所としても人気。通常非公開で春と秋に特別公開される庭園は京都市指定文化財(京都市指定名勝)となっています。

庭園および大名・伊達綱村ゆかりの方丈は通常非公開(春・秋に特別公開あり)ですが、紅葉や竹林で彩られる境内は通年拝観することができます。

その歴史について。その歴史は古く、平安時代初期の810年(弘仁元年)に嵯峨天皇の勅願寺『常住寺』として創建。後に天台宗座主となる慈覚大師(円仁)を開山に迎えています。その後荒廃するものの、鎌倉時代の1261年(弘長元年)に公家の葉室家によってその菩提寺として中興。その際に律宗に改められ現在の寺名に。中興開山は奈良・西大寺の叡尊

しかしその後も南北朝時代の元弘の乱や室町期には応仁の乱で荒廃。再び興され現在へと至る伽藍が整えられたのは江戸時代前半の1689年(元禄2年)。葉室家24代・葉室頼孝(権大納言)が開基、黄檗宗の鉄牛道機和尚(大慈普応禅師)が開山となって再興。

小田原藩主/老中・稲葉正則など鉄牛を信仰した大名によって再建され、当時建てられた本堂・位牌堂・開山堂・寿塔は京都市指定有形文化財となっています。この4つのお堂が縦に連なるよう、そして階段状に建てられているのが黄檗宗の伽藍の特徴(中国風)なのだとか。京都市の文化財となっている理由の一つに、(数多くある京都のお寺の中でも)江戸時代の黄檗宗の建築様式は他に無くレアな点も。

その本堂から庭園を挟んで横に並んでいる方丈は、仙台藩主・伊達綱村による寄進で移築されたもので綱村の幼少時のお屋敷の一部なのだとか。

本堂と方丈の間に残るのが京都市指定文化財の池泉鑑賞式庭園。西山の斜面の地形を活かした、自然な植栽の築山に大きな石組が組み合わされた庭園で、特に方丈の上段の間と縁側〜回廊からの眺めが重視されています。築山にはモミジや桜が植わり、池中ではカキツバタや睡蓮など、四季それぞれの花々も楽しめる庭園。

ちなみにお茶事も嗜んでいた伊達綱村は部下に茶人・清水動閑を持ち、この清水動閑は仙台藩内に国指定名勝となっている庭園を残します。黄檗宗の寺院自体にあまりこの様な庭園は無いそうなので、“禅”的な庭園ではなく再興に関与した大名の意向が反映された庭園なのだろう…と思うと、おそらくその様な大名に近い茶人/文化人が作庭に関わっているかも?

そんな風に庭園メインで紹介しましたが、通年拝観できる境内もモミジや苔、竹類(亀甲竹や四方竹など)の緑が美しい…!
また、特別公開期間以外にも予約制の『葉室山浄住寺 非公開文化財での特別なひととき~坐禅と精進料理~』というプランも。京都の喧騒から逃れた、本当に自然の音しか聴こえない庭園で“京都らしい時間”を過ごしてみて。

(2024年5月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)

アクセス・住所 / Locations

阪急嵐山線 上桂駅より徒歩13分
京都市中心部より路線バス「苔寺・すず虫寺」バス停下車 徒歩6分/「松尾大利町」バス停下車 徒歩10分

〒615-8276 京都府京都市西京区山田開キ町9 MAP

投稿者プロフィール

イトウマサトシ
イトウマサトシ
Instagram約9万フォロワーの日本庭園メディア『おにわさん』中の人。これまで足を運んで紹介した庭園の数は2,000以上。執筆・お仕事のご依頼も受け付けています!ご連絡はSNSのDMよりお願いいたします。
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