山のホテル庭園Hotel de Yama's Garden, Hakone, Kanagawa

箱根・芦ノ湖畔のツツジの名所。明治時代に三菱財閥四代目・岩崎小彌太が別荘“見南山荘”に作庭した近代別荘庭園。

庭園ギャラリーGarden Photo Gallery

山のホテル庭園について

「山のホテル」は箱根・芦ノ湖畔にあるリゾートホテル。三菱財閥4代目総帥・岩崎小彌太の別邸をルーツとし、当時から残る庭園は『箱根小涌園 蓬莱園』等と並び箱根のつつじ三名園に挙げられます。(宿泊者以外でも散策可)

2021年秋、『箱根神仙郷』『強羅公園』という2つの文化財庭園を目的に久々に訪れた箱根。それらに加えて気になっていた庭園/美術館も回ったので紹介。

Instagramでも人気の芦ノ湖に浮かぶ『箱根神社』の鳥居。その程近くにある山のホテルは小田急グループの本格的リゾートホテルで、1948年(昭和23年)の開業から70年以上の歴史をほこります。別荘温泉地・箱根の更に富士山も一望できるホテルとして国内外で人気を博し、1960年代には若かりし頃の映画スター、アラン・ドロンも宿泊。

現在見られる赤屋根のクラシックな宿泊棟は1978年(昭和53年)に完成した三代目で、イメージは“レマン湖のほとりの古城”。そこから約40年、見た目こそ昭和を引継いでいますが、2006年には温泉を掘り当て芦ノ湖温泉“つつじの湯”がオープン。また2015年に客室もリニューアル。

ホテルの前身、三菱財閥・岩崎小弥太がこの地に別邸を造営したのは1911年(明治44年)。建物は火災や関東大震災で消失し当時のものは残っていないものの、中には三菱財閥三代目・岩崎久彌の邸宅(『旧岩崎邸庭園』)を手掛けたジョサイア・コンドルによる洋館が建った時代も。

建物の遺構がない中で、現在見られる約15万平方メートルの庭園は岩崎家別邸時代に面影を残すもの。岩崎小彌太の邸宅の庭園としては、近代京都を代表する作庭家・七代目小川治兵衛が岩崎家鳥居坂本邸に作庭した現『国際文化会館庭園』がありますが、それとはまたタイプもスケールも全く違う。

現在庭園には約70品種3,000株のツツジと約40品種300株のシャクナゲが植わっており、これらの大部分(すべて?)が岩崎家時代のもので、中には小弥太が留学先のイギリスから取り寄せたという西洋シャクナゲも。またその他にもバラ園や日本庭園らしさのあるモミジ林などなど。
この広大な庭園には三菱グループや他社の経営陣、高浜虚子ら文人墨客を招き園遊会を開いていたのだとか。庭園内には漢学者・諸橋轍次がこの別荘に名付けた“見南山荘”の石碑が残ります。

昭和の半ばに山のホテルになって以降もその庭園は岩崎小彌太の理想を引継ぎ、形はそのままに維持管理され、ツツジ・シャクナゲの花が咲きほこる毎年5月には“つつじ・しゃくなげフェア”も開催。
2015年からはこの庭園を次世代に残すためのプロジェクト《男爵の100年ツツジ~100年先への挑戦》もスタート。新潟県立植物園園長で研究者の倉重祐二さんを中心としたその取組内容やツツジの詳しい品種については公式サイトや園内の看板などで見ることができます。

専任スタッフにより年間管理されている庭園は、花が見頃じゃない時期でも刈込とロケーションでその良さが伝わってくる――んだけどやっぱ花が咲く季節にまた来ようと思った!“日本庭園”ではないけど、文化財庭園的価値も感じさせられる近代別荘庭園です。

(2021年10月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)

アクセス・住所 / Locations

小田原駅・熱海駅・三島駅から路線バス「元箱根港」バス停下車 徒歩15分強

〒250-0522 神奈川県足柄下郡箱根町元箱根80 MAP