天空の庭ミュージアム

Tenkuu-no-niwa Museum, Tsu, Mie

世界的芸術家:イサム・ノグチの共同制作者:和泉正敏が作庭し、遺作となった彫刻作品も残るモダン庭園。京都の巨匠・中村昌生が手掛けた茶室も。

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天空の庭ミュージアムについて

【通常非公開/春・秋に特別公開】
「天空の庭ミュージアム」(てんくうのにわみゅーじあむ)は三重県津市にある、石彫家・和泉正敏(世界的彫刻家:イサム・ノグチの共同制作者/2021年までイサム・ノグチ日本財団理事長)が作庭を手掛けた彫刻庭園。庭園には氏の遺作も展示されているほか、京都の茶室/数寄屋建築の巨匠(研究家)・中村昌生が設計を手掛けた茶室『光風亭』もあります。
常時公開ではありませんが、例年春・秋に特別公開『石楽展』が開催(2026年はそれ以外に予約制公開日も設定)。詳しい日程は公式サイトをご確認ください。

この庭園を知ったきっかけは、元は先述の中村昌生さんの実績にあった茶室『救世神教 光風亭』について調べ始めた所から。昭和時代中期に三重県で設立された「ミロクコミュニティ救世神教」が造苑した聖地『神恩郷』の中にその茶室があるっぽい…と調べを進めていたら、なんとその苑内には和泉正敏さんにより2012年に作庭された庭園“天空の庭”がある/そして『石楽展』という期間限定の一般公開があると分かり…2021年の『石楽展』で初めて訪れました。(2025年に再訪したので、その写真を追加して改めて紹介)

冒頭に書いた通り、イサム・ノグチの制作パートナーとして氏の作品(『黒い太陽』、『草月会館』『モエレ沼公園』等)にも深く関わったのみならず、自らも『京都迎賓館』の大滝、『豊田市美術館』、『東京オペラシティ』などに作品を残し、石積みを担当した『瀬戸内海歴史民俗資料館』は2025年に国指定重要文化財に。海外では台湾『国立故宮博物院』の前庭やアメリカ『シカゴ美術館』等に作品を残されている和泉正敏さん。

氏は彫刻作品のみならず「お庭」もいくつか手掛けられており、中でも『旧香川県立体育館』は丹下健三が手掛けた建築として有名。また同じ香川県の『観音寺市斎場「燧望苑」』も物凄くかっこよく個人的に好きな庭園で――この『天空の庭』の存在を知った時にも、期待値が高く…!

…そして初めて訪れる直前の2021年9月、和泉正敏さんが永眠の報。とても悲しいニュースでしたが、この天空の庭には亡くなられる直前、2021年春〜夏にかけて制作されていた彫刻作品群「こもれび道の石群」「光風台の石群」も設置。これらは氏の遺作ということになります。
なお写真撮影可能な作品は冒頭(1〜12枚目)の「天空の庭」「夢湖」と、通年で一般の方も入場可能な「おまつり広場の石群」の「子供たちのための宇宙石」(13〜14枚目)のみ。実際は50以上の石造物・彫刻作品が並ぶ広大な芝庭です。

入場した先にあらわれるのは、和泉さんが「石のアトリエ」をかまえていた四国・高松の牟礼の銘石“庵治石”をはじめ、瀬戸内海に浮かぶ島々・小豆島、犬島、そして海外から運ばれた巨石/奇石などが用られた庭園。特に目を惹く石柱“天之御柱”は台湾の花蓮石が用いられています。
その目線の先、最奥にポツンと置かれている巨石は瀬戸内海の“太郎島”(犬島)の頂上にあった巨石を、「どこかに置かれるべきだ」と構想していた所から、この庭園に運び込まれたもので、園内では“天之磐座”と名付けられています。また、その傍らには実はイサム・ノグチの作品『Rain Mountain』も。

中盤は自然の森林の中に、和泉作品が点在する空間。「天空の庭」の周辺に広がる自然の空間――も、一度はゴルフ場の開発に晒されていた所から、植物学者・宮脇昭さんによって、氏の提唱した“潜在自然植生”(通称「鎮守の森」)により時間をかけて育てられている空間。

そして、順路の後半には京都の巨匠・中村昌生さんと京都の名工・安井杢工務店が手掛けた茶室『光風亭』があり、会期中にはこのお茶室でお抹茶・お菓子をいただけるプランも。「天空の庭」より先に竣工したこちらのお茶室、名工の関わった建築はもちろんですが、京都の銘石・鞍馬石や真黒石などが用いられた京風の茶庭/露地も。更には“昭和の光悦”とも呼ばれた川喜田半泥子による茶碗も。

ちなみに。園内の各所からその姿をのぞめる神恩郷の「教祖殿」の建築設計はこれまた巨匠・黒川紀章の設計。昭和〜平成の名建築家やアーティストが多数関わっているこの空間とモダンな庭園、ぜひ一度訪れてみて。

※2025年秋に刊行された『天空の庭ミュージアム MUSEUM BOOK』に「おにわさん」担当者によるエッセイが掲載されています。敷地内の「ナチュラルフーズショップ しんせん」で販売中。この本ではお庭や和泉正敏さんについてより詳しく、深く解説されておりますので、ぜひ訪れた際は手に取ってみてください!

(2021年10月、2025年11月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)

アクセス・住所 / Locations

近鉄名古屋線 久居駅より3km弱(徒歩35分)
久居駅より路線バス「久居高校」バス停下車 徒歩15分(本数僅少)

〒514-0824 三重県津市神戸3464 MAP

投稿者プロフィール

イトウマサトシ
イトウマサトシ
Instagram約9万フォロワーの日本庭園メディア『おにわさん』中の人。これまで足を運んで紹介した庭園の数は2,000以上。執筆・お仕事のご依頼も受け付けています!ご連絡はSNSのDMよりお願いいたします。
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