世界的芸術家:イサム・ノグチの共同制作者:和泉正敏が作庭し、遺作も残る野外彫刻庭園。京都の巨匠・中村昌生が手掛けた茶室も。
天空の庭ミュージアム/ミロクコミュニティ救世神教“神恩郷”について
【通常非公開/特別公開期間あり】
「天空の庭ミュージアム」(てんくうのにわみゅーじあむ)は世界的彫刻家:イサム・ノグチの日本国内の制作パートナーであり、自らも『京都迎賓館』『東京ミッドタウン』等に作品を残した石彫家で2021年までイサム・ノグチ日本財団理事長もつとめた和泉正敏さんによる彫刻庭園。
この庭園を知ったきっかけは、元は京都の茶室/数寄屋建築の巨匠・中村昌生さんの実績にあった茶室“救世神教 光風亭”について調べ始めた所から。
昭和年代の半ばに設立された新宗教団体『ミロクコミュニティ救世神教』が三重県津市に造苑した聖地・神恩郷の中にその茶室があるっぽい…と調べを進めていたら、その苑内には和泉正敏さんにより2012年に作庭された庭園“天空の庭”がある/そして『石楽展』という期間限定の一般公開があると分かり…。
で、2021年10月の『石楽展』で初めて訪れました。和泉正敏さんが手掛けた庭園としては2021年1月には『観音寺市斎場“燧望苑”』にも足を運んだ。燧望苑が個人的にはものすごくかっこよくて好きな庭園だったので…この石楽展もとても楽しみにしていたのだけど、足を運ぶ直前の9月に和泉正敏さんが永眠。
この“天空の庭”の中には2021年夏に制作/作庭されたばかりの彫刻作品群「こもれび道の石群」「光風台の石群」もあり、これらは氏の遺作ということになります。
なお撮影可能な彫刻作品は冒頭(1〜6枚目)の“天空の庭”“夢湖”と、通年で一般の方も入場可能な「おまつり広場の石群」の“子供たちのための宇宙石”(8〜10枚目)のみ。実際は50以上の石造物・彫刻作品が並ぶ広大な芝庭です。
和泉さんが石のアトリエをかまえていた四国・高松の牟礼の銘石“庵治石”をはじめ、巨石や奇石なども用いた庭園。“天空の庭”の最奥にポツンと置かれている巨石は瀬戸内海の太郎島の頂上にあった自然石を「どこかに置かれるべきだ」と構想していたものを、この庭園に運び込んだもので、園内では“天之磐座”と名付けられています。
園内の各所からその姿をのぞめる神恩郷の“教祖殿”の建築設計はこれまた巨匠・黒川紀章で、施工は京都の名工・安井杢工務店。
順路の後半に数寄屋建築/庭園研究家・中村昌生さんによる茶室“光風亭”があり、会期中には+500円でお抹茶・お菓子をいただくことも。近影は撮影不可だったので、許可のうえ外の園路より。サツキの刈込の中からは奇石がぽっこり顔を出している。全体のランドスケープも有名な方が関わっているのかもなぁ…。
ちょっと変わり種の庭園なので紹介するタイミングを逸していたんだけど、これが2021年に足を運んだ庭園の最後の紹介!
紹介できていない間に『天空の庭ミュージアム』という名前になっていたし、自分が訪れた時はインディペンデントな感じだったけど2022年から地元の三重テレビ/伊勢新聞社/津市観光協会も後援についている。野外彫刻/彫刻アートが好きな方はいつか一度訪れてみてほしい庭園です。2022年の次回公開は11月。
(2021年10月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)