山本家 仁風庵

Yamamoto-ke Jinpuan Garden, Kyoto

京都御所近くの住宅街に佇む歴史的建造物。かつて京都市も迎賓館として用いた近代和風建築と2つの庭園。国登録有形文化財。(通常非公開)

庭園フォトギャラリーGarden Photo Gallery

山本家 仁風庵について

【通常非公開/年に数回イベントを開催】
「山本家 仁風庵」(やまもとけ じんぷうあん)は京都の中心『京都御所』の真西、中立売御門から徒歩5分ほどの場所に建つ近代和風邸宅。
「山本家住宅」として主屋/正門及び塀/勝手門及び塀/土蔵の4件が国登録有形文化財、また京都市景観重要建造物や京都市民の選ぶ「京都を彩る建物や庭園」などに選定/認定されています。

中立売通を通るたびいつか見てみたい…と思っていた、通常非公開のお屋敷「仁風庵」。
2022年秋、11月26日・27日にイラストレーター小渕暁子さんによる京都ではじめての展覧会『あき こと きょうと』が開催。その際に初めて邸宅・庭園も拝見させていただきました!

⇒『あき こと きょうと』のチラシはこちら(akikoさんの公式サイト)。
(このイベントの入場は予約不要ですが、2Fで開催の小渕さんのワークショップとジャズ・シンガーakikoさんによるトーク&ミニライブは要予約です。)

京都の老舗が多く軒を連ねる室町通りに本社(本店)を構える「山本仁商店」。創業は江戸時代中期の享保年間と古く、白生地問屋を営んでいた1920年(大正9年)13代目・山本仁三郎の代に創業の地・岐阜から京都へはじめて出店。この「仁風庵」の名も創業以来の“仁”の屋号が由来となっています。

そんな岐阜から京都へ拠点を移した13代山本仁三郎によって昭和初期、1940年(昭和15年)前後に建築されたのがこの「仁風庵」。現在も山本家の現役の住宅なので通常非公開ですが、年に数回このような講座やイベントがあります。(この2-3年はコロナ禍でその機会が減っていたそう)

また山本家の邸宅としてだけでなく迎賓館としても活用され、時には京都市からの依頼で海外の賓客をこちらでお迎えしたこともあったとか。1階・2階の大広間や近代和風建築らしい洋間、そしてとても明るいお茶室などからその格式が感じられます。近年ではドラマ『京都人の密かな愉しみ』のロケ地にもなりました。

現役の住宅なので建築内の写真は控えめに紹介していますが…洋間も和室も“明治・大正”とは異なるデザイン性が垣間見えてとても良い!

庭園は2箇所。まず1つが通りから塀越しに美しい紅葉が見える南のお庭。応接間・茶室の正面に眺められる露地風の庭園で…面白いのが軒下の犬走り。直線的な切石と真黒石を組み合わせた“数寄屋建築”のためのデザインである一方で、広さや高さがデッキ/テラスっぽくて。近代〜現代の進化の途中。

この通り沿いの庭園が主庭かなと思っていたけれど違って、より大きな庭園がもう一つ。それが広間から眺められる枯山水庭園。13代目が自ら庭石を収集しながら作庭されたお庭だそうで、鞍馬石、貴船石?、糸掛石、あと奥にも大きな真黒石など京都の銘石“加茂七石”が見応えあります。あと石臼を使った沢渡の飛び石は『平安神宮』っぽさも。
こちらの主木は桜。苗から育った桜が現在は2階ほどの高さになり、春にはその姿が絶景なのだそう。

今回のメインの展示も楽しみつつ、ご当主をはじめ皆様に山本家や邸宅の歴史についてご説明いただきました(ありがとうございました!)。ご当主のこの邸宅を残したいと思った際のとあるエピソード…蔵から見つかったものはかなり自分も胸に来るものがありました。また別の季節のイベントにも足を運びたいと思います!

(2022年11月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報やイベント情報は各種公式サイトをご確認ください。)

アクセス・住所 / Locations

京都市営地下鉄烏丸線 今出川駅より徒歩10分
最寄りバス停は「烏丸一条」バス停 徒歩5分

〒602-0915 京都府京都市上京区三丁町中立売通西洞院西入446 MAP

投稿者プロフィール

イトウマサトシ
イトウマサトシ
Instagram約9万フォロワーの日本庭園メディア『おにわさん』中の人。これまで足を運んで紹介した庭園の数は1,900以上。執筆・お仕事のご依頼も受け付けています!ご連絡はSNSのDMよりお願いいたします。
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