舞娘茶屋 相馬樓

Soumaro Garden, Sakata, Yamagata

北前船で栄えた酒田の花街の面影と煌びやかな料亭文化を伝える近代和風建築。明治時代の国登録有形文化財には苔むした京風なお庭や『竹久夢二美術館』も。

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舞娘茶屋 相馬樓について

「舞娘茶屋 相馬樓」(まいこちゃや そうまろう)は山形県酒田市で江戸時代に創業した料亭「相馬屋」を前身とする観光施設。明治時代より残る近代和風建築が「相馬屋主屋」として国登録有形文化財。館内には大正ロマンを代表する画家・竹久夢二の作品を展示する『竹久夢二美術館』も。

北前船の物流拠点として栄え、また各地から文化が流れ込んできた酒田市にはレトロな建築が多く残りますが、中心部(旧市街)〜高台部にかけては料亭/キャバレー/社交クラブと言った華やかな花街の面影を残す建築も現存しているのも一つの街の特長。

「相馬屋」も江戸時代末期(1808年)の創業以来、1995年に閉店するまで酒田を代表する料亭として親しまれたそう。現在残るのは1894年(明治27年)の庄内大震災に伴う大火ののち再建されたもの。朱色の土塀、瓦葺ではなく茅葺という独特な門、屋根のシャチホコ…と外見からしてその「格式の高さ」が伝わってきます。

閉店後、酒田の料亭文化を守り伝えるために地元企業・平田牧場が購入、2000年に観光施設としてオープン。近代の贅を尽くした料亭建築の見学のほか、お食事(予約制)やカフェ、そして酒田舞娘(舞妓)さんの舞踊を鑑賞・体感できます。真っ赤な玄関や1階広間は観光向けに煌びやかにしている所もあるのだろうけど、所々の意匠に数寄屋風和風建築の“美”が感じられる!

そんな伝統的建築にはいくつかのお庭も(中庭/裏庭)。主庭はお座敷(くつろぎ処)と茶室に面した中庭。苔むした中に庭石と灯籠が配されたこのお庭、酒田(庄内)に入り込んでいる“京風”な雰囲気をよく表すお庭。一方で手水鉢近くに配された佐渡の赤玉石、そして中央の(京都でよく見るものとは雰囲気の違う)丸い伽藍石など、北前船で文化の往来のあった日本海側ならではーー『本間家旧本邸』のお庭と似ている(新潟の庭にも似てる?)。

そして館内に連なる土蔵は美術ギャラリーとして活用。京都から北前船で運ばれてきた雛人形や、酒田や相馬屋にもたびたび訪れた画家/詩人・竹久夢二の作品を展示する『竹久夢二美術館』、そして樓主・新田嘉一さん(平田牧場会長)のコレクションから近代日本画家・横山大観富岡鉄斎らの作品を展示。それ以外の館内にも北上聖牛、佐藤公紀伊東深水の弟子)、ジュディ・オングさんらの作品が館内には展示されています。お庭/美術好きも訪れてみて。

(2023年9月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)

アクセス・住所 / Locations

JR羽越本線 酒田駅より徒歩20分
酒田駅より路線バス「中央東町」バス停下車 徒歩7分

〒998-0037 山形県酒田市日吉町1丁目2-20 MAP

投稿者プロフィール

イトウマサトシ
イトウマサトシ
Instagram約9万フォロワーの日本庭園メディア『おにわさん』中の人。これまで足を運んで紹介した庭園の数は2,000以上。執筆・お仕事のご依頼も受け付けています!ご連絡はSNSのDMよりお願いいたします。
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