土門拳記念館 庭園“流れ”

Ken Domon Museum of Photography Garden "Stream", Sakata, Yamagata

昭和の名写真家・土門拳の為の“日本で最初の写真美術館”は名クリエイターの競演。建築:谷口吉生/庭園:“草月流”勅使河原宏、イサム・ノグチも。

庭園フォトギャラリーGarden Photo Gallery

土門拳記念館について

「土門拳記念館」(どもんけんきねんかん)は昭和を代表する写真家・土門拳の地元・山形県酒田市に1983年(昭和58年)に開館した“日本で最初の写真美術館”。建築の設計は世界的建築家・谷口吉生。コンテンポラリーな枯山水庭園“流れ”の作庭はいけばな草月流三代目・勅使河原宏。中庭には世界的彫刻家:イサム・ノグチの作品《土門さん》も。

第二次世界大戦後の広島を記録した『ヒロシマ』や、奈良『室生寺』をはじめとする寺院・仏像・古美術を記録した『古寺巡礼』等が代表作として挙げられる昭和の巨匠・土門拳。氏が酒田市名誉市民第一号になったことをきっかけに、“日本で最初の写真美術館”として開館した土門拳記念館。氏より寄贈された全作品が四季ごとに企画展として順次公開されています。

土門拳さん自身の写真作品ももちろん見応えありますが、スゴいのがこの記念館の開館に関わった人々。

●建築の設計はニューヨーク近代美術館(MoMA)等も手掛けている世界的建築家・谷口吉生で、氏の初期の大型建築の一つ(父・谷口吉郎さんと土門さんが親交深かったとか)。
最上川からも近く自然豊かな環境と建築の協調性を最も重視したと言うこの記念館。既存の自然林を背後に残し、前方には土門拳にちなんだ大きな池泉“拳湖”(白鳥池)が造成され“水に浮かび上がるよう”に演出。そんなランドスケープにも注目!

●ポスター/チケットのデザイン、そして入口の銘板を手がけたのはグラフィックデザイナー:亀倉雄策。1964年の東京オリンピック、1970年の大阪万博(EXPO’70)のポスターでも有名な、デザイナーなら知らない人は居ない巨匠!

●記念館の奥にある枯山水庭園“流れ”(Stream)と、イサム・ノグチ《土門さん》が鎮座する中庭の作庭は華道草月流の三代目家元・勅使河原宏さんによるもの。

氏の作庭庭園は『大樋美術館』など他にもありますが、父・勅使河原蒼風と土門拳との繋がりから生まれたこの庭園が最初の作品。最上川の川石がびっしりと敷き詰められた“流れ”は、この飯盛山から降り注ぎ、そして水になって“拳湖”へと流れ込むようなそんなデザイン。築山には3つの景石が配されています。

そんな名クリエイターによる美術館は2009年に『ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン』で二つ星として掲載。拳湖の周囲の飯森山公園では四季の花々も楽しめますが、中でもあじさいが品種数日本一!とのこと。ぜひ初夏にも訪れてみて。

(2013年7月、2023年9月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)

アクセス・住所 / Locations

JR羽越本線 酒田駅より約5km(市内各所にレンタサイクルあり)
酒田駅より路線バス「土門拳記念館」バス停下車 徒歩3分

〒998-0055 山形県酒田市飯森山2丁目13 MAP

投稿者プロフィール

イトウマサトシ
イトウマサトシ
Instagram約9万フォロワーの日本庭園メディア『おにわさん』中の人。これまで足を運んで紹介した庭園の数は2,000以上。執筆・お仕事のご依頼も受け付けています!ご連絡はSNSのDMよりお願いいたします。
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