毎年秋にライトアップされる柏崎の紅葉の名所!大正時代に作庭され近代の邸宅の面影を残す日本庭園と、庭園を眺めながらお茶を戴ける“木村茶道美術館”も。
松雲山荘庭園について
「松雲山荘」(しょううんさんそう)は新潟・柏崎市の紅葉の名所として人気の日本庭園。大正時代に造営がはじまった当地の実業家・飯塚謙三氏の邸宅に作庭されたもので、その山荘の命名は近代の首相/内閣総理大臣・清浦奎吾。
2022年10月に約4年ぶりに訪れたのでその際の写真を更新して紹介。
国指定文化財(国指定名勝)の庭園『貞観園』など、大きな日本庭園が複数残り公開されている新潟県柏崎市。その庭園の中でも最も市街地・柏崎駅から近いのがこちら。柏崎駅の南西へ約1km、都市公園『赤坂山公園』内にあります。
1926年(大正15年)から造営がはじまった「松雲山荘」。飯塚謙三氏は日本石油の創業者で“日本の石油王”と呼ばれた実業家/政治家・内藤久寛(柏崎出身)に薫陶を受け、やがて柏崎でガス会社を経営した実業家。
ちなみに柏崎の公開庭園の一つ『飯塚邸』の飯塚氏とは直接的な関係ないそう(当地でメジャーな苗字?)。
2,900坪(約9,600平方メートル)の敷地内には山の斜面を活かした邸宅が築かれ、当時の邸宅こそ現存しませんが、玄関への洋風のアプローチ等がその面影を伝えます。
1971年(昭和46年)に敷地が柏崎市へ寄贈され、庭園の一般公開開始。園内にある『木村茶道美術館』はその後年に開館したもの。(説明は後述)
敷地の大部分を占めるのが大正時代~昭和中期に掛けて作庭された日本庭園。
伊藤武陵画伯の筆による「六曲屏風絵」を下に築庭された池泉回遊式庭園で、作庭を手掛けたのは柏崎市東本町の庭師・蓮池周作/蓮池軍一郎親子。蓮池周作は、かつて江戸で徳川家に出入する庭師だった“刈羽柏崎の庭師の祖”相澤熊蔵のお弟子さん。
600本のモミジ、300以上のドウダンツツジが植わった紅葉の名所として地元では有名な庭園で、例年秋には紅葉ライトアップも!
そしてその名の通り松もアカマツが200本植わっているなど庭園の見どころの一つ。父・蓮池周作が手掛けた池泉回遊式庭園に対して、子・蓮池軍一郎が手掛けたのが1,600のツツジを主体とした庭園で、春/ゴールデンウィーク頃に花を咲かせ見頃を迎えます。
木村茶道美術館
かつて邸宅があった高台部、現在見られる和風建築は『木村茶道美術館』。
福井市の『愛宕坂茶道美術館』、富山市の『佐藤記念美術館』、能登・輪島の『南惣美術館』など、北陸に意外と?残る茶道具中心の美術館。北陸は歴史上京都方面との結びつきが強かったこともありますが、柏崎は「越後縮」を近畿地方で販売する行商を生業とした方のコレクションが現代まで伝わってきたとか。
その中で数寄者として名を挙げた木村寒香庵(新潟県功労者)からの茶道具や寄付金により1984年(昭和59年)に財団が設立され、木村茶道美術館が開館しました。
木村寒香庵翁が学んだのは不白流の清水宗観。仙台藩・伊達家の茶道頭だった清水動閑(清水道閑)からのルーツがある人物なのかな…?
後水尾天皇・松花堂昭乗・藤村庸軒・雪村・沢庵和尚といった京都の一流の作品から、地元・新潟ゆかりの良寛まで絵画/書/茶道具を所蔵。この美術館では、木村寒香庵の《使ってこそお道具であり、使わなければお道具が死んでしまいます。》の思想の下、所蔵している茶道具を実際に使ってお茶をいただけること。
庭園を眺めながらいただける野外茶席も。庭園をお目当てに松雲山荘を訪れた方もぜひ茶道美術館にも立ち寄ってみて。
(2018年9月、2022年10月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)
アクセス・住所 / Locations
JR信越線 柏崎駅より徒歩15分強(駅前の観光案内所にレンタサイクルあり)
柏崎駅より路線バス「常盤台」バス停から徒歩5分
〒945-0841 新潟県柏崎市緑町3-1 MAP