四季々々しんら(西村庄治商店)

Shikishiki Shinra Garden, Kyoto

京の老舗が立ち並ぶ“室町通”。庭園のある京町家をリノベした、ガイドブックや雑誌には載らない本当の隠れ家宿。

庭園フォトギャラリーGarden Photo Gallery

四季々々しんら(西村庄治商店)庭園について

【宿泊者向け】
「四季々々しんら」(しきしきしんら)は京都の老舗が立ち並ぶ室町通の築150年の京町家を一部改装し、2018年にオープンした京町家旅館。その京町家では江戸時代後期、1828年(文政11年)に美術織物商として創業した『西村庄治商店』が現在も営業しています。

2020年春の緊急事態宣言の頃からはじまった《こんな時だから、庭園のある京町家に泊まりたい。》シリーズ。この宿もGWの頃に宿泊予約サイトで写真を見て「ここいいなあ…」と思っていた宿。

その頃は2万円~という価格で、すぐには手が出なかったのですが…冬になってだいぶ値下がりした&GoToトラベル停止間際に泊まりに訪れました(チャリで)。当初の1/3程の価格で泊まったけど、客室内はとても和スタイリッシュな感じにリノベーションされていてめちゃくちゃ良かったので、ここは確かに1泊2万円が妥当だと思った…安く泊まってごめんなさい…。(しかも。1~2名は同じ価格だったので、複数人で泊まるなら激お得感あると思う)

江戸時代には呉服店が立ち並ぶ問屋街として発展し、現在も多くの老舗が軒を連ねる京都の室町通。この四季々々しんらの近くでは、やはり伝統的な京町家をリノベーションし庭園も見られるカフェ『然花抄院』や、後に三井財閥・三井グループを作り上げた越後屋の店舗・屋敷跡(『三井越後屋京本店記念庭園』)などがあります。

ベンガラ色の漆喰と“橘”と記された生地が特徴的な京町家。この室町の地で創業した西村庄治商店さんは現在は和生地や和雑貨の生産・卸商を営まれています。軒の“橘”と書かれた燈籠が京都市による京都景観賞で歴史的意匠屋外広告物にも指定。

一方で、この四季々々しんらだけでなく、京都のゲストハウスを安い方から見ていくと目にする機会の多い『サンチャゴゲストハウス』など複数の宿泊施設を運営する株式会社TOUKIさんは創業から100年を数える陶器屋さんから派生した旅行部門なのだそう。TOUKI自体は2015年に京都の伏見区で創業。

そんな両者の組み合わさったこの京町家宿。トオリニワから生地や美術品が飾られていてここにしかない感を味わえる。冒頭で“築150年”と書いたけれど大正5年と書かれた棟札が置いてあったから、一部が江戸時代末期、一部が大正時代(1916年)という感じなのかも。
その奥に各部屋があります。主屋のガーデンビュールームだけでなく蔵も別の客室になっている(なので“一棟貸し”ではない)。

それらの中庭として回遊できる庭園があります。苔とサツキの刈込が主体の庭園。なのでベストシーズンは5月末~6月かなあ。“加茂の七石”真黒石が敷き詰められた軒下を見るに、庭園も建物と同じく大正時代(近代)に作庭されたものかなと(蔵の客室への園路など一部改修はされているっぽいけど)。
自分の写真だと立体感がわかりづらいんですが、主屋正面にある手水鉢、すごく深く掘られた場所に配されていて。高低差だけで庭の広さの印象が変わる。

そして贅沢なのは檜の香る浴槽に浸かりながらこの庭園が眺められるところ。宿泊予約サイトでもまだほとんど評価がついていないけど、ここはマジでオススメできる京町家宿です。

(2020年12月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)

アクセス・住所 / Locations

京都市営地下鉄烏丸線・東西線 烏丸御池駅より徒歩5分
最寄りバス停は「烏丸二条」「新町御池」バス停 徒歩3分

〒604-0021 京都府京都市中京区室町通り二条下ル蛸薬師町286 MAP

投稿者プロフィール

イトウマサトシ
イトウマサトシ
Instagram約9万フォロワーの日本庭園メディア『おにわさん』中の人。これまで足を運んで紹介した庭園の数は1,900以上。執筆・お仕事のご依頼も受け付けています!ご連絡はSNSのDMよりお願いいたします。
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