中世ドイツをイメージした景観と様々なレジャーが楽しめる公園。その一角には安藤忠雄が手掛けた建築も…。
滋賀農業公園ブルーメの丘・ブルーメの丘美術館について
「滋賀農業公園ブルーメの丘」(しがのうぎょうこうえん・ぶるーめのおか)は戦国武将/大名・蒲生氏郷と近江商人の町・日野のはずれにある大規模な農業公園。1997年開園。中世ドイツをイメージしたという景観が楽しめる園内の一角には、安藤忠雄が手掛けた建築“ブルーメの丘美術館”があります。
2020年秋、初めて滋賀県日野町を訪れました。お目当てはこれまで紹介した近江商人屋敷の庭園と、もう一つはここ。年間約60万人の観光客が訪れる日野町のうち、約半分を占めるのがこのブルーメの丘。2019年には西日本最大級の巨大アスレチック施設『アルプスジム』が登場、人気を博しています。
中世ドイツの街並みをイメージした建物(カフェ・レストラン・売店)が立ち並ぶ“にぎわいのエリア”、アルプスジムやボート、ゴーカートで遊べる“あそびのエリア”、そしてヨーロッパ風の花畑や並木道などのランドスケープを通り抜けて向かうは“ブルーメの丘美術館”。…しかし妙だなあ、Googleマップにはピンがあるのに、リーフレットには名前が載っていない…。
入場ゲートから公園奥へ10分ほど歩くとコンクリート打ちっぱなし建築が現れます。当初の名前は自然光のみでの作品鑑賞が意図された「日没閉館 織田廣貴ミュージアム」。建築はイメージしたとおりの安藤建築なんだけど…広い公園とはいえ、この建築周辺だけ明らかにお手入れが行き届いていない。
「開館してなかったかー」と思いながらドアを引いたら開くし、中の見学もできる。一見やっぱきれいな建築なんだけど――虫の死骸や糞がけっこう落ちている(笑)有名なところから無名なところまで国内には数多くの安藤忠雄建築があると思うのですが、ここまで放置状態の安藤建築は初めて見たな…。
参考記事の三陽アートギャラリーさんの記事を読むと、10年前からこのような状態だったみたい。そう思うとリーフレット(や公式サイト)に載っていないことにも納得。公園として活用しきれないから、PRしたくもないしそれ目的で訪れてほしいとも思われていない。管理の目が行き届かないならばアプローチ辺りから閉鎖してもいいと思うんだけどな…。
山を借景として、安藤建築なりに風景に溶け込むようなデザインが意図されているんだろうなと思うし…当初は鳴り物入りで完成を迎えたんだろうなーと思うと難しい。“農業公園”にこのようなギャラリーはそぐわなかったのか。
…安藤忠雄の建築を目的に訪れたら消化不良で終わってしまいそうだけど…そんな時は「どうぶつのエリア」まで足を延ばしてカピバラやカンガルーや羊に癒され、“つどいのエリア”のクラフトビール工房とソーセージ屋台で腹を満たし、このランドスケープを満喫して帰路へ着きましょう。
(2020年11月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)
アクセス・住所 / Locations
近江鉄道 水口・蒲生野線 日野駅より約6.5km(駅にレンタサイクルあり)
日野駅・JR近江八幡駅より路線バス「幅野町」バス停下車 徒歩10分
〒529-1628 滋賀県蒲生郡日野町西大路843 MAP