“桂離宮”の昭和大修理を担当した建築家・安井清の設計による回遊式数寄屋庭園と、世界一を誇る笹専門の植物園。
笹離宮(蓼科笹類植物園)について
【冬季休園】
「笹離宮」(ささりきゅう)は八ヶ岳・蓼科高原にあるササ類専門の植物園。園内の和風建築・数寄屋風建築や庭園の設計は京都の名園『桂離宮』の昭和の大修理や国宝の茶室『如庵』の移築などを手掛けた伝統建築家・安井清氏によるもの。
2019年夏の信州旅行、松本の施設でここのパンフレットを見つけて(それまで知らなかった)。『笹離宮』という名前もですが…そのパンフレットの冒頭のフレーズ『完成しない庭園を目指して』にめっちゃ惹かれ、予定に無かったけど足を運びました!
八ヶ岳という、普段の自分の行動パターン(公共交通機関+レンタサイクル)では行きづらい場所だったけれど、今回はレンタルバイク(スクーター)で行動していたことも功を奏し…ついでに言うと先輩が携わった八ヶ岳のおされなカフェ『デリ&カフェ K』にも近かったのでちょうど良かった。
パンフレットを入手した施設で「あぁ最近できた施設ですね」と言っていたのでここ1、2年で開かれた施設だと思ってたけど、運営する財団法人「蓼科笹類植物園」は2009年に設立されたそうなので、完成から10年程度は経っているみたい。公式サイトの情報は2015年、SNSは2014年までしか情報がないのでいつから公開されているかはわからないけど…。
その名の通り“笹のための離宮・庭園”で、国内のみならず海外からも収集した120種類の笹が見られます(世界一のササ類植物園を目指しているそう)。
元は静岡県の『富士竹類植物園』(ここも今知ったけど気になる…)からの「地球温暖化の影響で弱り始めた笹類を、寒冷な蓼科の地に移植させたい」という要請から始まり、設計に携わることになった安井清氏によって“笹類植物園”のみならず笹を活かした“回遊式数寄屋庭園”という構想に広がったそう。
庭園は“植物園エリア”と“数奇屋庭園エリア”と大まかには2つのエリアで構成されています。
まずは“数奇屋庭園エリア”。安井清さんの設計による和風建築「清風萬里館」、茶室「箬庵」、待合「翠陰」や石庭、そして京都から運ばれた鞍馬石も使われた飛び石や延段――という和風庭園の中で、普段は苔や芝生で表現されそうな部分にここでは笹が取り入れられているのがとてもユニーク!
そして園内奥に位置する“植物園エリア”では右から左まで様々な種類のササ類が見られます。その森の中には八ヶ岳を表現した築山や、笹の葉による笹葺き屋根の縄文式竪穴住居、そして京都府・大山崎の国重文『酒解神社』の神輿庫を模したという板倉「神坐」などが配されています。
たまたまパンフレットを見つけなかったら訪れなかった場所だけれど――八ヶ岳のロケーション含めてすごく良かった。笹をここまで意識して見たのは初めて…“笹好き”となるとニッチだと思うけど(笑)、現代和風建築好きも見て楽しめる空間!
自分が訪れた時も(決して多くはないけど)何組かの方が回遊していらっしゃったし、駐車場には京都ナンバーの車もあって――やはり庭園の本場、京都の方のアンテナの張り方はすごいなとも感心!また行きたい。
(2019年7月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)
アクセス・住所 / Locations
JR中央本線 茅野駅より路線バス・美濃戸口線「八ヶ岳小さな絵本美術館前」バス停下車 徒歩約25分
茅野駅から約9.5km。レンタサイクルはあるけど標高300m近く登ります…
〒391-0011 長野県茅野市玉川宇原山11400番地1017 MAP