江戸時代の庄屋屋敷の梁や折上格天井を活かした現代和風建築が素敵!な国登録有形文化財と近代の露地風庭園。
桜の庄兵衛(奥野家住宅)について
【通常非公開】
「奥野家住宅」(おくのけじゅうたく)は阪急宝塚線・岡町駅前の桜塚商店街を抜けた先にある江戸時代のお屋敷。江戸中期〜明治時代に建立された主屋/門長屋/中門/露地門及び高塀/米蔵/新蔵/東蔵/西蔵の9棟が国登録有形文化財となっています。
通常非公開ですが、ギャラリー「桜の庄兵衛」として活用され不定期でコンサートや企画展が開催されています。2022年5月14日(土)~5月29日(日)の期間で開催された『上山隆久 木工家具』展で初めて訪れました。
…ただその前を通りかかったのは2年半前、同じく岡町が最寄り駅の国指定名勝庭園『西山氏庭園“青龍庭”』(作庭:重森三玲)の特別公開を見に訪れた時。その後街を歩いていてこのお屋敷を通りかかって、ここも国登録文化財なんだなあ…と。
その後コロナ禍でなかなかタイミングが合う公開イベントが無かったのだけど、今回2年半越しに見させていただくことができました。
ギャラリー名となっている“桜の庄兵衛”とは、奥野家が江戸時代にはこの地(桜塚村)の庄屋をつとめ、代々“庄兵衛”と名乗っていたことに由来。明治時代には村長も務められました。現在は大阪の都心部からも近い住宅地の中にありながら、門長屋や主屋は豪農の邸宅といった雰囲気を残しています。
しかしその歴史あるお屋敷も1995年の阪神・淡路大地震では大きな被害を受けました。それでも取り壊しとはならずに修復、現在見られる主屋は1998〜1999年に掛けて修復をされて以降のもの。
驚くのが玄関・式台を上がった所の現代和風建築…といった趣のモダンな佇まい。元は客間で、大きな梁や折り上げ格天井を残しながら床はフローリング、天井が高く明るく開放的な部屋に。今回の木工家具展の家具と相まってめちゃくちゃおしゃれ…。
数寄屋風の意匠が見られるお座敷に面して、良く手入れが行き届いていて美しい露地風の回遊式庭園が見られます。前庭と主庭を区切る“露地門”の建立が明治時代とのことだから、(建築の修復の際に多少ながら手も加わっているのだろうけど、)現在見られる庭園の原型もその頃のものかな。
時代も地域もちょっと違うけど、パッと見た時に東大阪市の『旧河澄家庭園』と似た印象を受けた。
ただ古いものを保存するだけでなく、掛かる音楽はジャズ、床の間に掛けられているのも現代のポップ・アート風の絵画。ご当主の好みが感じられるのがまた心地良い空間。次回はコンサートでも訪れてみたい!
(2022年5月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)