旧河澄家庭園Former Kawazumi-ke Residence Garden, Higashiosaka, Osaka

大坂町奉行・曾我古祐が隠棲の為に造った数寄屋風書院造り建築“棲鶴楼”と枯山水庭園。東大阪市指定文化財。

庭園ギャラリーGarden Photo Gallery

旧河澄家住宅・旧河澄家庭園について

「旧河澄家」(きゅうかわずみけ)は生駒山の西麓に位置する庄屋屋敷。江戸時代後期の数寄屋風書院造り建築“棲鶴楼”から、江戸時代初期に作庭された枯池式枯山水庭園を眺めることができます。東大阪市指定文化財。

2021年冬に初めて訪れました。知ったきっかけはTwitterでフォローしてくださった所から。「こういう庄屋屋敷は庭園があったりするよな」と思って見たら本当にあって、訪れたら写真の印象よりもとても立派な枯山水庭園が…!

その歴史について。記録に残っている所では南北朝時代の1369年(応安2年)に亡くなった日下連河澄与市大戸清正まで遡る旧家・河澄家。江戸時代には代々“河澄作兵衛”と名乗り、当地の庄屋をつとめました。

もう一人のキーパーソンが大坂西町奉行・曽我丹波守古祐。大坂城下および摂津・河内の支配、監視役という重要な役目を曽我古祐は江戸時代初期の1630年代~50年代の約20年間に渡りつとめました。
そんな江戸時代初期の大坂にとっての重要人物、名前で調べると、熊本藩主・細川忠利とやりとりした書状を九州文化財研究所がリストにしていたり(⇒こちら)、京都大学の朴晋さんの研究(⇒こちら)では小堀遠州や淀藩主・永井尚政とともに江戸幕府から近畿内の飢餓対策にあたっていることが確認できる。

そんな曽我古祐、自らの領地だった日下村の河澄家に1648年~1652年頃に「棲鶴楼」という座敷を造営し、奉行引退後に隠居。
現在見られる数寄屋風書院造りの棲鶴楼は江戸時代末期の1835年(天保6年)に建て替えられたものですが、座敷から眺める主庭は当初の建築時にあわせて作庭されたものと伝わります。

しかしなぜ大坂町奉行まで務め“名奉行”と評された権力者が一介の庄屋屋敷に自らの隠居場所を造ったのか。
その理由は想像する他ないけれど、まずこの屋敷は立地が素晴らしい。生駒山へと向かう斜面の中腹に位置するので、高台部にある庭園越しには大阪平野を一望できる。勿論当時は現在のようなビル景が眺められるわけでは決してなかったにしても、きっとその眺望に惹かれて間借りしたんだろう。(夕方に訪れたので西日を食らって自分の写真は微妙だけど…)

そんで庭園について。棲鶴楼の“鶴”に対して亀石を配して鶴亀を表現、蓬莱思想に基づき作庭された枯山水庭園。築山やメインの滝石組は大阪平野側に築かれていて、座敷もそちら側に開けているのでかつてはもっと借景も重視された庭園だったのではないかと感じる(現在はお隣の家の屋根が見える、塀の高さもそこに配慮したものなんじゃないかな~)。

書院から眺める、力強い石橋がアイキャッチの江戸時代初期の庭園。学芸員さんが小堀遠州の『西本願寺大書院庭園“虎溪の庭”』を引合いに出されていて、なるほどなと思った。小堀遠州、永井尚政、細川忠利と並んで名前が挙がった程の人物、京都に菩提寺を持つ武将らとの親交から当時のトレンドを知り得ていても何らおかしくはない。

黒ずんだザラザラした石が多用されているのも特徴的。“石切”という地名がこの地に残るように、この邸宅から東へ向かった山の方には石丁場もあったとか(と聞いた気がするけどちょっと記憶が曖昧)。
また座敷から南正面にある大木は樹齢約500年と推定されていて、“日下のかや”として東大阪市指定天然記念物。

江戸時代中期には上田秋成唯心尼、森公道といった文人が棲鶴楼に集い、河内の文人サロンのような役割を果たしていました。特徴的な欄間や釘かくしなどの意匠も見所。
日下の集落には他にも寺社仏閣や古そうな門や塀を残している邸宅が残ります。“石切さん”こと『石切剣箭神社』からも足を伸ばして街歩きしてみて。

(2021年2月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)

アクセス・住所 / Locations

近鉄奈良線 石切駅より徒歩15分
四条畷駅・新石切駅・東花園駅より路線バス「南日下」バス停下車 徒歩10分

〒579-8003 大阪府東大阪市日下町7丁目6-39 MAP

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