“バスケの街”で有名な能代。かつて“東洋一の木都”と呼ばれた時代に銘木を惜しみなく使ったドデカ大型近代和風建築と日本庭園!国登録有形文化財。
旧料亭 金勇について
「旧料亭 金勇」(かねゆう)は「バスケの街」秋田県能代市の市街地に残る国登録有形文化財の大型近代和風建築。お座敷から眺められる日本庭園も残ります。
明治時代の1890年(明治23年)に初代金谷勇助が貸座敷「開運楼」を創業、のちに料亭に転じ2008年まで約120年間営業された老舗料亭「金勇」。現在は能代市営の観光交流施設として活用/公開されています。(見学は無料/300円でボランティアガイドの方に館内をご案内いただけます。そのほか着物/浴衣を着用して写真撮影の有料サービス等も)
戦前の1937年(昭和12年)に建てられたのが国登録有形文化財となっている本館。驚くのはその大きさ!玄関は一見、木造3階建のように見える外観(実際は2層)。建物の面積で言えばもっと大きな和風建築/料亭はありますが、一棟がこれだけ巨大な和風建築はそう無い!
そして大きさだけではなく銘木「秋田杉」がふんだんに使われている点もこの建物の価値。現在は「バスケの街」として知られる能代は、米代川の河運を活かして運ばれてきた木材加工が産業として発展、かつて“東洋一の木都”とも呼ばれ、この本館はその象徴的な建築でもあります。
110畳もあり芸者の舞台もある2階大広間(四畳半仕切り格天井もすごい)をはじめ、庭園をのぞむ1階大広間「満月の間」、茶室風の「浅黄」「多津美」などなど、一室一室違う欄間、天井、手すり、意匠など各部屋に職人技が発揮されていて見所だらけ。かつては秋田の政財界の迎賓館的な存在となり、近年では囲碁の七大タイトル戦の一つ「本因坊戦」もこの金勇では開催されました。「多津美」で本因坊戦に関する品々が展示されています。
土地面積約3,300平方メートルの約半分を占めるのは庭園。主に満月の間から眺められる主庭園と、田毎の間・川風の間に面した露地風の枯山水庭園と2つのお庭があります。(*外に出て回遊できるのは主庭園のみ)
枯池を中心に置いた平庭の枯山水、その周囲には樹木の刈込…というデザイン性、比較的距離の近い弘前周辺の「大石武学流庭園」のような雰囲気を感じます。(建築は一部東京の職人が手掛けているそうなので、庭園も他地域から招かれたのかもしれないけれどそれでも秋田〜弘前間の庭園文化を伝える貴重な庭園!)
過疎化の進む地方ほど財政が厳しくなってきている現代。その中で、この巨大な和風建築を保存、公開されているのはものすごいこと——。しかも市民向けの貸室利用も1時間90円〜と爆安。全館借りても1時間1,450円〜(2024年現在/冷暖房費別)。それ位「地域の人のための和風建築」として存在している。全国の庭園ファン、和風建築好きに、一度は訪れて欲しい場所!
(2023年9月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)