鳥潟会館庭園

Torigata Estate's Garden, Odate, Akita

2024年、秋田県指定名勝→国指定名勝に…。敷地面積8000㎡を超える東北の名家の庭園の一つ。七代目小川治兵衛の弟子・粕谷幸作が手掛けた池泉回遊式庭園。

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鳥潟会館(旧鳥潟家住宅)庭園について

「鳥潟会館」(とりがたかいかん)は江戸時代から続く旧花岡村の名家「鳥潟家」の本邸として造られた和風建築と庭園で、敷地面積が8000㎡を超える東北の名家の広大な庭園の一つ。これまで秋田県指定名勝でしたが、2024年に国指定文化財(国指定名勝)へと格上げされました。

その歴史について。昭和初期に京都帝国大学名誉教授も務めた鳥潟家17代・鳥潟隆三が京都から1000名もの大工・左官を呼び寄せ、江戸時代中期に建てられた主屋を中心に5年の歳月をかけて増改築。
当時すでに本拠を京都に置いていた鳥潟教授が「花岡の人にも京都文化を体感してもらえるように」という想いから京風の建物・庭園にこだわった――という動機・経緯が他の東北の大地主の邸宅・庭園とは少し違うなぁ、と説明をお聞きしていて思いました。昭和中期に大館市に寄贈されその後は市立の施設として公開されています。敷地内には郷土資料庫も。

鳥潟会館の座敷から眺められる池泉回遊式庭園が造られたのも同時期で、こちらも京都から招いた庭師により作庭。鳥潟家に残る書簡から、近代京都を代表する庭師・七代目小川治兵衛(植治)の門下・粕谷幸作が手掛けたとされ、庭園の芝生の使い方や茶室・露地のしつらいに植治の庭園の特色が見られるそう。茅葺の茶室も素敵。

京都から多くの石を運び込んだ力作――その一方で、地元秋田・鳥海山の石を使ったという手水鉢もアクセントになっています。また庭園に植えられている樹木ではツツジが最も多いそうなので、5月初旬頃が見頃なのかも。

秋田県指定有形文化財になっている建物内部も広くて見どころが多く、様々な意匠に富んだ建築。中でも豪邸には欠かせない網代編みが沢山取り入れられており「船底天井」は凝ってるなーーと思いました。秋田市、盛岡市、弘前市いずれからも距離がある地域にこの規模の建物・庭園があることに驚く思いと、同時期の世界で初めて無線に音声を乗せたという工学博士・鳥潟右一も輩出するなど日本有数の名士?とも言えそうな「鳥潟家」に見合った豪邸です。国指定名勝を目指しておられるそうなので、応援したい!

(2018年7月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)

アクセス・住所 / Locations

JR奥羽本線・花輪線 大館駅より約6km(駅にレンタサイクルあり)
大館駅より路線バス「鳥潟会館前」バス停下車 徒歩4分(※1日4〜5往復のみ!)
最寄駅はJR奥羽本線 白沢駅で約4kmの距離

〒017-0005 秋田県大館市花岡町字根井下156 MAP

投稿者プロフィール

イトウマサトシ
イトウマサトシ
Instagram約9万フォロワーの日本庭園メディア『おにわさん』中の人。これまで足を運んで紹介した庭園の数は2,000以上。執筆・お仕事のご依頼も受け付けています!ご連絡はSNSのDMよりお願いいたします。
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