理覚院庭園

Rigakuin Temple Garden, Nagahama, Shiga

戦国大名・浅井家の重臣だった井口弾正の菩提寺に、江戸時代前期に小堀遠州により作庭されたと伝わる庭園。

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理覚院庭園について

【堂内拝観は要事前予約】
「理覚院」(りがくいん)は戦国時代に小谷城を築いて湖北地方を治めた浅井家の重臣・井口弾正の菩提寺で、小堀遠州による作庭と伝わる「理覚院庭園」は滋賀県指定名勝となっています。

平安時代初期(800年)、この地に「長安寺」という寺院が創建。平安〜鎌倉期に隆盛期を迎え多くの塔頭寺院が作られたそうですが、戦国時代にかけて多くの戦火に巻き込まれ理覚院のみが唯一残ったそう。

浅井家の重臣『湖北の四家』の一つとされる井口家はもとは近江国主の佐々木氏の一族で東条氏と称したそう。鎌倉時代の当主、東条経方佐々木頼綱の命で近江国の干ばつを救い、それをきっかけに井口氏に改称。その後は浅井家を支えた井口家。境内には安土桃山時代の供養塔がひっそりと残ります。

現在は枯池の池泉鑑賞式庭園は江戸時代初期に小堀遠州による作庭と伝わります。現在も史料が残るわけではなく伝承だそうですが、同じく長浜で遠州ゆかりの『総持寺庭園』『赤田氏庭園』と類似する鶴亀島や石組が見られます。ちなみに今回訪れた3月下旬が、雪もなく草木が繁る前なので「石組がもっとも見えて、庭園が一番見易い時期」とおっしゃられておりました。

その他、観音堂には湖北地方では唯一「百軀観音像」が安置されています。民衆にとってはまだ全国への仏像巡礼が難しかった江戸時代、西国・坂東・秩父の各札所霊場合計百体の観音像の「うつし」(レプリカ)を収集、この理覚院にまとめて安置し信仰していたカルチャー。百体観音は今回初めて見た気がする。そんな文化もあったんだなあ。

なお「長安寺」の塔頭で残ったのは理覚院だけですが、周辺には多くの寺社仏閣があります。木之本・高月の両駅の中間点と行きづらい位置ではありつつも集落から歴史の面影を感じられるのは近江ならでは。今回は時間の都合で他の寺社仏閣に寄れなかったので、次回改めて…。

(2019年3月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)

アクセス・住所 / Locations

JR北陸本線 高月駅より2.3km(徒歩約30分、駅前にレンタサイクルあり)
JR北陸本線 木之本駅より3km強(徒歩約40分、駅にレンタサイクルあり)
木ノ本駅より路線バス「洞戸」バス停より徒歩13分(約1km)
長浜駅、米原駅方面より路線バス「横山」バス停下車 徒歩15分

〒529-0212 滋賀県長浜市高月町井口113 MAP

投稿者プロフィール

イトウマサトシ
イトウマサトシ
Instagram約9万フォロワーの日本庭園メディア『おにわさん』中の人。これまで足を運んで紹介した庭園の数は1,900以上。執筆・お仕事のご依頼も受け付けています!ご連絡はSNSのDMよりお願いいたします。
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