万博記念公園 茶室“汎庵・万里庵”

Expo'70 Park Teaceremony Room, Suita, Osaka

“紅葉まつり”期間中のみ特別公開される、通常非公開の茶室/庭園…京都の数寄屋建築の名匠・中村外二建築の茶室とモミジと苔が美しい茶庭。

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万博記念公園 茶室“汎庵・万里庵”について

【通常非公開】
「万博記念公園」(ばんぱくきねんこうえん)は1970年の日本万国博覧会(大阪万博)の会場跡地に開かれた公園。シンボルの岡本太郎『太陽の塔』が有名。
公園の北部に位置する「日本庭園」は大阪万博の際に当時(昭和)の日本を代表する造園家が集結し作庭されたもの。東西の距離約1.3km(端から端まで歩いて15~20分)、総面積26万平方メートル(東京ドーム5.5個分)の中に“日本庭園の博物館”のように時代ごとの様式を取り入れた日本庭園が広がります。

ここでは日本庭園の中にある通常非公開の茶室「汎庵」(はんあん)「万里庵」(ばんりあん)を紹介。京都の数寄屋建築の名大工・中村外二(中村外二工務店)の作で、その前には一面の苔と紅葉で彩られた庭園が広がります。毎年秋の『紅葉まつり』の際のみ特別公開。2022年秋の公開最終日に訪れました!

⇨「万博記念公園 日本庭園」についてはこちら。

大阪万博開催時にVIP/賓客接遇用の施設として京都商工会議所から寄贈を受けたのがこの2つの茶室。いずれも裏千家/表千家など茶道家元の監修の下で、中村外二の設計・施工により建築されたもの。

■汎庵
普段は閉ざされている塀の向こう、正面に現れるのが「汎庵」。武家屋敷をモチーフとした書院造の和風建築で、一番奥の10畳広間や立礼席の他にもいくつかの部屋があり、流派を問わず利用できる「汎用性のある茶室」。汎庵の命名もそれが由来で(どストレート)、その扁額は当時の総理大臣/首相・佐藤栄作の筆。

秋の特別公開では広間でお抹茶・お茶菓子をいただけます(茶室もですが、使用される茶道具/お茶碗も大阪万博のVIPの為に用意された逸品で出していただける)。広間は庭園を眺めるための窓も大きく開放的な作りになっています。円窓も◎!

■万里庵
汎庵の斜向かいにある四畳半の茶室が「万里庵」。こちらは裏千家の茶室「又隠」の写しで、その名は「万博」と地名の「千里」から一文字ずつを取って命名。扁額も表千家・千宗左が「万」、裏千家・千宗室が「里」と一文字ずつ記したもの。(特別公開の際も上がることはできず、外から鑑賞する形)

■茶庭/露地庭園
そしてこの2つの茶室の前に広がる茶庭が素敵!
紅葉の時期のみの公開になるだけあって一面に多くのモミジが植わっていて、その足元には苔の庭園が広がります。その苔の中には“曲水の宴”も楽しめるような小川(枯流れ)も。

一見、伝統的な日本庭園のようで、ところどころ現代的な素材や直線的なデザインやが入り混じったモダンな雰囲気のあるこの茶庭。作庭者は不明なのだけれど、建築を担当した中村外二とも多くタッグを組み、実業界から大阪万博に深く関わった松下幸之助の御用達庭師だった川崎幸次郎だろうか…(憶測です)。

今回は残念ながら紅葉のピークからだいぶ過ぎた後だったので…次回はもう少し早い時期に訪れたい!

(2022年12月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)

アクセス・住所 / Locations

大阪モノレール 公園東口駅より徒歩10分
大阪モノレール 万博記念公園駅より園内を通って徒歩15分
JR茨木駅・阪急 茨木市駅より路線バス「日本庭園前」バス停下車 徒歩10分強

〒565-0826 大阪府吹田市千里万博公園9 MAP

投稿者プロフィール

イトウマサトシ
イトウマサトシ
Instagram約9万フォロワーの日本庭園メディア『おにわさん』中の人。これまで足を運んで紹介した庭園の数は1,900以上。執筆・お仕事のご依頼も受け付けています!ご連絡はSNSのDMよりお願いいたします。
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