青春時代を越前国で過ごした紫式部を偲び庭園研究の第一人者・森蘊が作庭した、平安時代の様式の寝殿造庭園。
紫式部公園について
「紫式部公園」(むらさきしきぶこうえん)は越前市武生の市街地にある市民公園/池泉回遊式庭園で、作庭は昭和を代表する庭園研究家・森蘊さん。越前富士“日野山”を借景とした“全国で唯一の寝殿造庭園”が楽しめます。
同じく武生の市街地にある『愛山荘庭園』からは徒歩15分ほど。2021年6月に2年ぶりに訪れたのでその時の写真を追加。
そもそもなんで福井に紫式部公園?という点について。『源氏物語』の作者として有名な紫式部は生涯で一度だけ京都を離れて暮らしました。それが現在の越前市にあたる武生の国府で、平安時代の中期(996年)に越前国司となった父・藤原為時と共にこの地に移り住み、青春時代のうちの約1年半を過ごしたそう。
それをテーマに昭和の末に作庭されたのがこの公園。そのデザインは紫式部が過ごした平安時代の国司が過ごした住宅様式(寝殿造)と平安朝式庭園+紫式部日記・絵巻に描かれているような風雅な舟遊びができる庭園――を、森蘊さんを含めた造園史家が研究を重ねた上で再現したもの。
“全国で唯一の寝殿造庭園”という触れ込みのこの庭園、寝殿造とはなにかと言うと。寝殿・正殿を中心とした数棟の建物と、池や築山などを配した庭園で構成された邸宅のことを指す。だから庭園のことではなく、庭園を含めた建築様式と言った方が良いのかな。全国で唯一とはありますが、京都の『城南宮神苑』など、現代に寝殿造をモチーフに再現された庭園は他にも。
上記からするとこの庭園のビューポイントは池にせり出す形で配された寝殿造の釣殿からなんだろうなあと思うし、そこからの眺めは朱色の橋の向こうに山の借景がのぞめるのですが、池を回遊していると大体の位置から三方に山並みの美しい借景が!
また公園内には金色の紫式部像もあり、こちらは文化勲章受章者の圓鍔勝三さんが制作したもの。また園内に点在する歌碑には谷崎潤一郎揮毫のものもあります。
公園に隣接した場所に紫式部に関する資料を見ることができる『紫式部と国府資料館 紫ゆかりの館』が2021年にオープン。四季の彩が楽しめるこの公園はまた越前市を訪れた際に立ち寄りたい!
(2019年3月、2021年6月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)
アクセス・住所 / Locations
JR北陸本線 武生駅より徒歩約30分(※駅前観光案内所にレンタサイクルあり)
武生駅より路線バス「紫式部公園口」バス停下車 徒歩5分(本数少ないです)
〒915-0847 福井県越前市東千福町20-369 MAP